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» 2012年07月06日 08時00分 UPDATE

“迷探偵”ハギーのテクノロジー裏話:初期化しても消えません――繰り返されるデータ消去の落とし穴 (1/3)

メモリカードやHDDを初期化しても実際のデータは消えない。この点を最近の若い世代は意外と知らないようだ。近年人気のSSDでのデータ消去も含めて解説したい。

[萩原栄幸,ITmedia]

 今回はHDDやUSBメモリ、デジタルカメラなどにおけるデータ消去の問題を取り上げたい。このテーマは以前にも取り上げたが、最近の若者やPC初心者で知らない人が多く、PC中級者以上の人でも忘れている場合があるようだ。重要な知識として改めて解説する。つい最近も、有名なPCショップでうっかり中古PCのデータを完全に削除しないまま販売したということがあった。2004年に刊行した拙著「世界一やさしい情報セキュリティの本」(日科技連出版社刊)の中で「販売店を信じてデータ消去を行っていませんか? 自分の身は自分で守るのが鉄則です」という趣旨の記事を掲載している。データ消去にまつわるトラブルは時代に関係なく繰り返されるようだ。

実際に遭遇したケース事例

 もう5、6年前にもなるが、筆者のセミナーを受講した大学院生(女性)から次のような内容のメールが届いた。

私の研究室にA君という人がいます。来月に3週間ほど米国の姉妹校に留学するそうですが、最近になって別の研究室の人に、デジカメのメモリカードの容量が少ないので貸してほしいと依頼しているようです。

おかしなことに彼はほとんど交流が別の学部の、しかもミスキャンパスコンテストに出場した女性にばかり声をかけています。もう4人に同じ依頼をしているらしく、私に彼がどういう人物なのかという質問も来ました。そこでご相談があります……。


 筆者はメールを受け取ったその日に依頼者に連絡して、翌日にはキャンパスへ出向いた。そこでA君に、「君のしたことは分かった。穏便に済ませたいので自宅に連れてってくれないか」と話したところ、青ざめた様子で観念したらしく、自宅に出向くことになったのである。

 彼はデスクトップPCを所有していて、その中にパスワードが設定された「秘密の写真」というフォルダがあった。そのフォルダとコピーの別のフォルダをツールで完全に削除した。だがCD-RやUSBメモリにも保存している可能性があり、全部出すように求めたところ、A君は押入れの中からCD-Rを数枚差し出した。

 そして念書を書いてもらい、「もし同じ画像がネットで見つかったら全て君の責任になる。本当にもう無いのか?」と念を押した。本当に存在しないことを確認した後に、4人の女性を集めて経緯を説明した。A君が書いた念書を彼女たちに届け、CD-Rの内容を各自で確認してもらった。案の定、全員がその画像を見て驚いたのである。恋人との写真や絶対に他人には見せられないものなど、数百枚を超える画像があったのである。彼女たちに、「警察に届けるかは君たち次第だ。お任せするが、大学には通報した方がいいだろう」と話した。

 また7、8年前のことだ。ある企業でシステムエンジニアとして働く30代前半の女性が、筆者の講演を聞いて真っ青になりながら話しかけてきた。

女性 すみません! ノートPCの買い替えで明日にも見積りを出した業者に古いPCを引き渡して、新しいPCを3万円引きで購入することになっています。一応、私もSEなのでPCの基本は知っているつもりです。PCをフロッピー(当時はそれが標準だった)から起動して、HDD全体をDOSプロンプト(今のコマンドプロンプト)で「FORMAT C:」で初期化(HDD全体がCドライブだった)しましたが、それでは本当にいけないのですか?

筆者 もし時間があれば、業者に渡す前にPCを私のところに持ってきていただけますか。話をするより、実際どうなるか見た方が早いでしょう。

 そして彼女は翌日にPCを持参してきた。彼女の了解を得て、PCから取り出した2.5インチのHDDを筆者のPCに接続し、専用ツールを使ってみると、「日記帳」「○○プロジェクト仕様書」「年賀用住所録」「家計簿」「社内旅行画像」「○○さんの結婚式画像」といったデータが出てきた。そして、「○さんとの想い出」というフォルダを開こうとした時、彼女は「そこは絶対にダメ!」と叫んだのである。

 見られたくない画像や業務用資料など、彼女のプライバシーが根こそぎ業者に渡るところだった。「本当に良かった。未然に防止できます」というと彼女は泣いてしまった。

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