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» 2012年08月28日 08時00分 UPDATE

田中克己の「ニッポンのIT企業」:デザイン力を生かし1億人のファンを作る フェンリル (1/2)

ブラウザに加え、スマートフォン向けアプリケーションの開発にも力を入れるフェンリル。それを支える強みが「デザインと技術」だ。

[田中克己(IT産業ウオッチャー),ITmedia]

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 「デザイン力と技術力」。PCやスマートフォン向けブラウザを開発するフェンリルは、この2つを競合他社との差別化を図る最大の要素にしている。欧米製ブラウザに満足できないユーザーに受け入れられてか、累計ダウンロード数3000万を超す国産ブラウザとして「Sleipnir」はナンバーワンの実績を誇るという。そのブラウザ開発で磨き上げたデザイン力を生かして、スマートフォン向けアプリケーション開発にも力を入れる。

デザインに力点を置いたブラウザを

 Windows PC向けブラウザは、かつてソフト開発会社に勤めていた20代の柏木泰幸社長が1人で開発に取り組んでいた。個人なので、作業はどうしても平日の夜や休日になり、開発スピードはなかなか上がらなかった。そんな時、柏木社長と、インターネット系広告会社に勤務する牧野兼史CEO(最高経営責任者)が知り合いになったのを契機に法人化を決断、2005年6月にフェンリルを設立した。ブラウザの開発は順調に進み、2005年10月にSleipnir2.00正式版を発表する。

 ブラウザ市場は、マイクロソフトのInternet ExplorerやグーグルのChrome、モジラのFierfoxなど有力製品がシェアを握っており、果たして、中小IT企業のフェンリルが同じ土俵で戦えるのだろうか。牧野CEOは自信を見せる。同氏によれば、PCに組み込まれているIEは初心者からプロフェッショナルまで、つまり万人が使える商品なのに対し、フェンリルはインターネットを駆使して情報収集するプロ向けを狙ったところに違いがある。自分用にカスタマイズできるなど、「痒いところに手の届くブラウザ」(牧野CEO)にするため、Sleipnirの開発はユーザーの意見を取り入れながら改善・改良を繰り返すとともに、デザインに力点を置いたという。

 牧野CEOは「デザインはソフトを構成する要素なので、おろそかにしてはいけない」と強調する。なので、Sleipnirは機能を直観的に分かるようなシンプルなデザインにする。アイコンの配置場所にも気を配る。さらに、アイコンをクリックしたら、ボタンに影をつけるといった工夫を凝らす。アプリケーションの応答が遅いと、「押したのだろうか」となり、もう一度、クリックしてしまうからだ。「ソフトは機能を提供するだけではない」(同)。

 もう1つ、フェンリルがこだわる点がある。「当社らしいデザインにし、ブランドがぶれないようにする」(牧野CEO)ことだ。社員約60人のうち、約20人を占めるデザイナーは「もっといい見せ方があるはず」と考え練るが、デザイナー1人1人の個性が強すぎると、統一感を失う恐れがある。そこで、どのデザイナーがデザインしても、「フェンリルのデザイン」と分かるようにする。例えば、デザイナーらがお互いのデザインに対して、意見を言い合いながら、共通認識でフェンリルらしいデザインにしていく。PC向けに続いて開発したiPhoneやAndroidなどスマートフォン向けブラウザ、Mac向けブラウザも同じ考えを貫いているという。

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