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» 2012年09月11日 08時00分 UPDATE

田中克己の「ニッポンのIT企業」:数十万円程度の業務アプリへの需要は多い サイボウズ (1/2)

クラウド基盤の自社開発に注力を始めたサイボウズ。その具体的な事業戦略とは――。

[田中克己(IT産業ウオッチャー),ITmedia]

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 コラボレーションツールのサイボウズが、独自開発したクラウド基盤「cybozu.com」とアプリケーション開発環境「kintone」の市場開拓に全力を注いでいる。自社ソフトのクラウド化を推進する一方、クラウド基盤上で稼働するアプリケーションを開発するパートナー作りに着手する。Amazonなど先行する米クラウドベンダーに対抗する戦力にするためだ。

クラウドで新規顧客を開拓

 サイボウズの青野慶久社長は2011年末、パッケージソフト市場を取り巻く環境の変化を目の当たりにし、ライセンス販売だけに依存する事業が難しくなると見ていた。バージョンアップするユーザーは少なくなり、保守契約を結ぶユーザーは減っていく。ところが、新規顧客を獲得するのは容易なことではない。

 そこで、サイボウズは経営の安定化を図れるクラウド事業に注目し、約3年前からクラウド基盤の自社開発に着手した。多くのパッケージベンダーが国内外のベンダーのクラウド基盤を採用したのに対して、サイボウズは自前で用意することにした。システムがダウンしたり、セキュリティに問題があったりなど、トラブルが発生したら、自らの力で解決するためだ。企業が求められる品質を確保するためでもある。

 クラウド事業は着実に拡大している。グループウェア「サイボウズOffice」のクラウド版は毎月約200社のペースで導入が増え続けており、ユーザー数は2012年7月末に1700社超に達した。Officeユーザーは約3万社(約300万ユーザー)なので、クラウド版は社数で5%強を占める程度だが、青野社長は予想以上の成果に手ごたえを感じている。

 1700社超のユーザーを詳細に見ると、約3割がオンプレミス版Officeからの移行、約5割が他社パッケージソフトからのリプレース、残りの約2割がグループウェアの新規顧客だという。オンプレミス版からクラウド環境に移行した理由について、ユーザーはスマートフォンなどモバイル環境対応や運用管理の容易さなどを挙げているという。

 クラウド版の1社当たりの利用者数は20超と、オンプレミス版の50〜100の2分の1から5分の1と小規模である。弁護士事務所のように数ユーザーで利用する企業も少なくないという。「自分たちで運用できる低料金の商品がようやく発売されたことで導入してくれた小規模ユーザーはニューマーケットになる」(青野社長)。

 グループウェアの使い方も変化している。スケジュールの共有や社内掲示板など古典的な利用から、最近はタスクの共有など業務システムに近い使い方が増えているという。そのため、サイボウズはデータの共有化に取り組み始めた。売り上げやメールなどさまざまなデータをグループウェアに取り込んで共有化し、グループウェアを企業活動の基盤に据える。

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