「若気の至り」がIBMの変革を加速? パルミサーノ会長が自身に投げ掛けた「5つの問い」(1/2 ページ)

日本IBMが設立75周年を祝う「THINK Forum Japan」を開催した。米本社からは新旧CEOが来日、約300名の企業リーダーを前に、日本企業が再び活力を取り戻すためには、真のリーダーシップとイノベーションが欠かせないと訴えた。

» 2012年09月13日 08時00分 公開
[浅井英二,ITmedia]

 「企業リーダーは日々の業務をマネージすると同時に未来も創造しなければならない。それがカリスマとリーダーシップの違いだ」── 2003年から10年近くCEOとしてIBMを率いたサミュエル・パルミサーノ同社会長はこう話した。

 日本アイ・ビー・エムは今週、都内のホテルで日本法人設立75周年を祝う「THINK Forum Japan」を開催した。米本社も昨年、創立100周年を祝ったばかり。その米本社からは新旧CEOが来日、ボールルームに集まった約300名の企業リーダーを前に、日本と企業が再び活力を取り戻すためには真のリーダーシップとイノベーションが欠かせないと訴えた。

 パルミサーノ氏が1990年代初め、約2年間の東京勤務を経験していることはよく知られている。

 「米本社のポストもあったが、若気の至りで東京勤務を選んでしまった(笑い)。知らない土地で家族にとっても大きなチャレンジだったが、日本がわたしを変えてくれた。そして自分を変革することの重要性も学べた」とパルミサーノ氏は振り返る。

 IBMの歴史は、長いイノベーションの旅路でもあった。自ら発明し、市場を切り開いたDRAM、ハードディスク、PCなどもコモディティー化すれば、他社へ事業譲渡し、より価値の高い事業に軸足を移してきた。

 「製品であれ、サービスであれ、ビジネスモデルであれ、しがみついていては成長はない。自分を変えることが最も難しいかもしれないが、リーダーは潮時を理解しなければならない」とパルミサーノ氏。

 パルミサーノ氏は、企業リーダーが未来を創造するため、言い換えれば、長期的な視野に立って経営するため、常に自らに投げ掛けるべき「5つの問い」を紹介した。

1.創業者が退いて以降も企業を永続していくには何をすべき?

「単に製品やサービスだけでなく、企業の理念や価値観を作り上げるべき。これこそがリーダーシップ」(パルミサーノ氏)

2.組織として相反する要素があったときどうすべき?

「例えば、コスト削減とR&D投資、単にバランスを取るのではなく、M&Aも含めて大切なことはしっかりと継続すること」(同)

3.コモディティー化にどう対処すべき?

「PCのように事業の中核をなさないと分かったら撤退する。また、リインベンション(reinvention:再発明)という手法もある。IBMはこれによってメインフレーム事業を再生できた」(同)

4.企業の国籍がグローバル時代にどれほどの意味があるのか?

「各国各地域のニーズをつかみ、それに応じた価値を創造しなければ成功はおぼつかない。市場は参入するものではなく、創造するもの」(同)

5.リーダーとして長期的な視野をどのようにして貫けばいいのか?

「株式投資もより投機的になってきているが、リーダーとして方向性を明確に示せば、社員は付いてくる」(同)

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