システムプラザが勝負をかけるストック型ビジネス田中克己の「ニッポンのIT企業」(1/2 ページ)

受託開発で技術者を増やすといった古典的な発想が全くないのが、50人弱のスタッフで事業展開するシステムプラザだ。その理由とは?

» 2012年12月18日 08時00分 公開
[田中克己(IT産業ウオッチャー),ITmedia]

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 「ストック型ビジネスを展開する」。こう語るシステムプラザの松下進社長に、「受託開発で、技術者を増やしていく」という古典的な発想は全くない。競合他社に打ち勝って受注しても、モノ作りに失敗すれば、利益がなくなり、技術者が疲弊するからだろう。この問題を解決する有効策がストック型というのだ。

分社化、企業合併、そして独立へ

 2008年8月に設立したシステムプラザは、海外製ERPの保守サポートを中核に事業を推進している。社員約30人、協力会社社員約15人から成る年商約4億3000万円(2012年5月期)の中小IT企業だ。

 実は、松下社長ら多くの社員は、石油会社だった東燃のIT部門が1985年に分社した東燃システムプラザの出身者である。東燃システムプラザは当時、グループ会社向けに加えて、外販ビジネスを推し進めており、その一環から海外製ERPも扱っていた。富士通やIBMのメインフレーム向けシステム開発も請け負いながら、1997年ごろには社員約260人、売上高60億円程度の規模に達していたようだ。

 ところが、東燃が1998年に横河電機に東燃システムプラザの全株式を売却したのに伴って、社名をシステムプラザに変更、横河電機グループの一員となった。その後、別のグループIT子会社と合併し、システムプラザという社名はなくなった。

 そうした中で、1996年に総代理店になっていたプロセス製造業向けERPの再契約の交渉が難航し、100社近いユーザーへのサポートが喫緊の問題になっていた。「休日をとって、個人としてユーザーをサポートするという社員まで現われてきた」(松下社長)。

 そこで、松下社長は会社の了解を得て、ERPサポート部隊を中心に約18人でスピンアウトすることを決断した。社名はシステムプラザとし、17人が株主となって事業をスタート。2008年末にERP会社と契約を交わし、2009年1月から本格的にサポートを開始した。現在、システムプラザの売り上げの約8割を占める中核事業になっている。

 同社の最大の強みは、石油化学や化学、医薬、食品などプロセス製造業の業務知識を持っていること。東燃時代から蓄積してきたノウハウを生かし、今日でも年に3〜4件のERPベースの基幹業務システムを導入している。国内に加えて、米国や中国、韓国、インドなど日系企業の海外進出に対応した案件も少なくないという。

 だが、プロセス製造業向けEPPの需要は「ゆるやかな成長。景気の波が来ると、売り上げが落ちることもある」(松下社長)。事業拡大には、新しいビジネスに挑戦する必要がある。

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