システムプラザが勝負をかけるストック型ビジネス田中克己の「ニッポンのIT企業」(2/2 ページ)

» 2012年12月18日 08時00分 公開
[田中克己(IT産業ウオッチャー),ITmedia]
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クラウド基盤でソリューション開発

 松下社長は「ERPのカスタマズは請け負うが、手組みのプロジェクトは手掛けない」方針。受託開発は請け負わないということだ。成長に向けた施策は、パッケージソフト販売とソリューション商品の開発、販売になる。

 年額や月額の料金体系とするパッケージソフト販売には現在、フォティーンフォティ技術研究所(FFR)のウイルス対策ソフトなどセキュリティ商品、アプレッソのデータ連携ソフトなどのメニューがある。特に、FFRのセキュリティ商品は金融機関や電力会社、官公庁などセキュリティ対策を重視する機関や企業に導入されているが、今後、一般企業に広がることを期待し、取り扱いを始めた。データ連携ソフトは、会計ソフトベンダーなどと協業し、EAI(エンタープライズ・アプリケーション・インテグレーション)のツールとして売り込む。

 もう1つのソリューション商品は、セールスフォース・ドットコムのクラウドプラットフォーム「Force.com」を使って開発し、まずは2013年3月末に3種類そろえる。実は、数年前からForce.comを使って、ERPなどに不足する機能を開発してきた。アプリケーションを容易に開発できて、ERPのサポートと同じにように、使用量によるストック型ビジネスにできるからでもある。

 具体的には、空気や水、土壌など環境に関する「有害物質など国の規制やルールに対応するために必要なデータを収集、管理する」(松下社長)もので、業種ごとに品ぞろえする計画だという。システムプラザが環境ノウハウを持つコンサルティング会社、FINEV(光成美樹社長)から「こんなものが商品になる」と助言を受けて、システム化する。販売は、松下社長が社長を兼務するシンクタンクのサステナビリティ・プラザがWebサイト経由などで販売する。もちろん、料金は従量課金制だ。


一期一会

 松下社長は5年後に売り上げ構成比で、ERP関連を3分の1、パッケージソフト販売を3分の1、ソリューション商品を3分の1にすることを目論む。つまり、売り上げを今の3倍近い、10億円以上にすることを考えている。パッケージソフト販売を約2億円、環境ソリューション商品を2億から3億円にするという計算だ。ただし、ストック型ビジネスなので、社員は50人程度に抑える。経常利益率も今の数%から10%超へとする。

 課題の1つは、どんな人材を育成していくかにある。社員の平均年齢は約46歳と高いが、業務ノウハウを豊富に持つ人材はそろっている。その一方、ソリューション商品の開発などにあたる開発技術力のある人材が不足している。扱うパッケージソフトの品ぞろえも必要になる。いずれにしろ、どんな商品が有望になるのか、その目利き力がいる。

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