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» 2012年12月27日 10時00分 UPDATE

ITアナリストに聞く:家電選びと同じ、ユーザーは用途を明確にしたサーバ導入を (1/2)

中小企業におけるサーバ選定のポイントなどについて、ノークリサーチの岩上シニアアナリストが解説した。

[取材:石森将文/構成:伏見学,ITmedia]

 日進月歩のIT技術によってますますサーバ製品のコモディティ化が進んでいる。とりわけ中小企業(年商5億円〜50億円未満)の利用が多いエントリーサーバは、価格やスペックでの差別化が難しくなっているのが現状だ。そうした中、中小規模のユーザー企業がサーバを導入する上で考慮すべきポイント、さらには導入効果を生み出すために取り組まなければならないポイントはどこにあるのだろうか。

オフィス以外での利用が広がる

 本題に入る前に、まずは中小企業におけるサーバ活用の実態について見てみよう。IT調査会社のノークリサーチが2012年7月に発表した調査結果によると、2011年から2012年にかけて中小企業が導入するサーバの用途として比率を高めているのが、「部門内利用」と「データベース利用」である。

 前者については、スリムタワー型サーバを以前からオフィス内に設置していた企業がその省スペース性や静音性に着目し、製造工場や倉庫、商業施設といったオフィス以外に設置場所を広げるようになってきた。さらには、東日本大震災による電力供給不足などの影響で企業での節電意識が高まり、省エネ化を目的にこうしたサーバ製品を採用するケースも増えてきた。後者については、コモディティ化によって品質に差異が見られなくなったことで、価格優位性の高いサーバ製品がデータベース用途で利用され、また、それに対するソリューションが提供されていることが背景にあるという。

 ただし、全体的には例年と比べて大きな変化はなく、基幹系業務システムや情報共有システムとしての利用が多い。

年商5億円以上〜50億円未満の企業における導入済サーバの用途(出典:ノークリサーチ) 年商5億円以上〜50億円未満の企業における導入済サーバの用途(出典:ノークリサーチ)

 中小企業の投資意欲についてはどうか。ノークリサーチでシニアアナリストを務める岩上由高氏によると、クラウドの登場によってハードウェアがオフィスからなくなっていくと思われがちだが、そうした観測と比べると、実際にはハードウェアは堅調だという。「アプリケーションの場合、ビジネス部門からの要請がなかったり、サポート打ち切りでなければバージョンアップを控えてそのまま使い続けたりすることが多い。サーバなどのハードウェアは物理的な老朽化などを前提とした導入サイクルがあるため、定期的に投資がなされている」と岩上氏は述べる。しかしながら、決して投資が右肩上がりに伸びているのではなく、落ちていないというのが実情だとする。

 積極的な投資がなされない背景には、予算の制約も然ることながら、中小企業の情報システム担当の多くは人員が一人しかいなかったり、総務と兼務していたりという状況にあるため、例えば、サーバの障害対策という課題はあっても、それを解決するような徹底したシステム運用管理は難しい。従って、実際には、「サーバがダウンしても電源を入れ直してまた動けばいい」と考える担当者は少なくないという。「本来であれば、システムが止まったり、遅延したりすることがどれだけ業務に影響を与えているかについて、情報シス担当は実態を把握し、経営者に伝えることが望ましい。だが、それだけの余裕がないのが実情だ」と岩上氏は話す。

ユーザーは成功体験を持つべき

ノークリサーチ シニアアナリストの岩上由高氏 ノークリサーチ シニアアナリストの岩上由高氏

 こうした状況に対し、ベンダー側による効果的な施策はないのか。実は、運用管理や障害対策に関するツールは充実しているにもかかわらず、中小企業のユーザーが使いこなせなかったり、独自に習得するのは障壁が高かったりしているため、あまり普及していないのが現状だという。「ツールを活用するという意識と、簡単なトレーニングさえあれば、ユーザーはより良い運用ができるようになるのではないか」と岩上氏は強調する。

 そのために重要なのが、ユーザーに成功体験を持たせることだという。

 「仮に売り手がサーバ監視サービスを月額5000円で提供すると言っても、障害が何も起きていなければユーザーは支払わないだろうし、そもそも5000円の価値があるかどうかも判断できない。そこで、例えば、半年間無償で提供するキャンペーンを実施し、その期間にトラブルの事前検知ができたら、ユーザーはサービスがなくなることにデメリットを感じ、サービスの採用を検討するはずだ」(岩上氏)

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