韓国のテレビ局と銀行システムが一斉ダウン、サイバーテロか

同時にニュースサイトの改ざんやマルウェア感染などの被害が発生したとの情報も。「現時点で北朝鮮の関与をうかがわせる確証はない」とセキュリティ各社は指摘する。

» 2013年03月21日 07時45分 公開
[鈴木聖子,ITmedia]

 韓国で3月20日、主要放送局と銀行のコンピュータネットワークが一斉にダウンした。国家警察は、サイバー同時テロの可能性もあるとみて捜査している。

 韓国の聨合ニュースによると、放送局のKBSとMBC、YTNおよび銀行2行から、同日午後2時ごろにコンピュータネットワークがダウンしたと国家警察に通報があった。警察はサイバーテロ対策チームを派遣して捜査に当たっている。

 米紙New York Timesによれば、KBSなどの放送局はコンピュータがダウンした状態で通常通りの放送を続けている。銀行ではインターネットバンキングが使えなくなったり、支店の業務に障害が出るなどの影響が広がった。

 米セキュリティ機関のSANS Internet Storm Centerによると、この事件と並行して、一部のニュースサイトが改ざんされたり、韓国の銀行の口座情報などを盗み出すマルウェア感染サイトにユーザーがリダイレクトされるなどの事件が発生。また、多数のマシンでHDDが消去されたとの情報もある。

 聨合ニュースは、韓国大統領府が北朝鮮の関与の可能性に言及したと伝えた。しかしセキュリティ各社は、現時点で北朝鮮の関与をうかがわせる確証は何もないと指摘する。

 ただ、セキュリティ企業のSophosによれば、北朝鮮にサイバー戦争部隊が存在するという見方は以前からあった。2008年には韓国軍の施設が北朝鮮からスパイウェア攻撃を受け、2009年には大規模なサービス妨害(DDoS)攻撃で韓国政府や軍などのWebサイトがダウンしたと伝えられている。

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