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» 2013年04月22日 08時00分 UPDATE

Weekly Memo:Oracleと富士通の協業関係に異変?

UNIXサーバ分野において緊密な協業を行ってきたOracleと富士通の関係が、ここにきて新たな段階を迎えているようだ。さらなる発展へと向かうのか、それとも……。

[松岡功,ITmedia]

Oracleの新製品発表に沈黙し続ける富士通

 「本日、世界最速のSPARCプロセッサを搭載したUNIXサーバ製品群を日本で披露することができ、たいへん嬉しく思っている」

 米Oracleで日本とアジア太平洋地域のシステム営業を担当するエイドリアン・ジョーンズ シニアバイスプレジデントは4月16日、日本オラクルが開いた新製品発表会でこう切り出した。

 日本オラクルがこの日発表したのは、UNIX OS「Oracle Solaris」が稼働する「SPARC」プロセッサ搭載サーバ製品群の新モデルで、ミッドレンジ向けの「SPARC T5」サーバ4機種、およびハイエンド向けの「SPARC M5」サーバ1機種。米国では3月26日に発表されたものだ。

 ジョーンズ氏によると、これまでのSPARCプロセッサは、3年前にOracleが買収したSun Microsystemsの独自技術を使ったものだったが、今回はOracleが初めて自社チップセットとして開発したものだという。

 発表会で説明があった新製品の詳しい内容については、すでに多くの報道がなされているので関連記事等をご覧いただくとして、ここでは今回の新製品をはじめとしたUNIXサーバ事業におけるOracleのパートナー展開に注目したい。

 日本オラクルの会見で登壇したOracle幹部とパートナー企業の代表者。中央に展示されたサーバは「SPARC T5」 日本オラクルの会見で登壇したOracle幹部とパートナー企業の代表者。中央に展示されたサーバは「SPARC T5」

 日本オラクルが開いた会見では、今回の新製品の国内販売パートナーとして発表時点で名を連ねた18社のリストが紹介され、そのうち、伊藤忠テクノソリューションズ、日立システムズ、東芝ソリューション、NTTデータ先端技術、TIS、新日鉄住金ソリューションズの6社が、それぞれに新製品拡販への意気込みを語った。

 6社のほかにも、NEC、日本ユニシス、沖電気工業、SCSK、富士ゼロックス、ネットワンシステムズ、パナソニックソリューションテクノロジーといった有力なパートナーが名を連ねている。これらの顔ぶれを見ると、かつてのSunの時代から長年にわたって実績を上げてきた企業が多く、日本オラクルにとっては心強いところだろう。

 ただ、OracleがUNIXサーバの戦略製品を日本市場に投入したこの日、同社のグローバルアライアンスパートナーであり、Sun時代からSPARCサーバを国内でOEM販売してきた富士通はこれまでのように呼応する動きを見せなかった。両社の関係に何か異変が起きたのではないか。その背景を探ってみた。

打倒IBMに向けて両社の足並みは揃うか

 話は今年1月に遡る。富士通が1月中旬、ハイエンド向けUNIXサーバ「SPARC M10」を発表した。同製品は従来の「SPARC Mシリーズ」の後継として、富士通とOracleの協業関係を象徴するものと見られていた。ただ、富士通主導で製品開発を行ったことから、発表時点では国内向けを先行し、グローバルの販売展開についてはOracleと調整を進めているとしていた。

 その調整の結果が明らかになったのは4月10日。両社ともにSPARC M10を「Fujitsu M10」の名称にして全世界で販売活動を始めると同時発表したのだ。ただ、日本国内では現時点で富士通がSPARC M10の名称のまま販売を続けている。

 この発表をどう読み解くか。Oracleからすると、Fujitsu M10はSPARC Mシリーズの後継ではないとの解釈で、自らは富士通が開発した製品の販売パートナーに徹するとの意思表示に受け取れる。富士通がそれを受け入れたのは、Fujitsuブランドの製品をOracleのグローバル販売網を通じて広げられる絶好の機会と考えたからかもしれない。

 こうしたSPARC M10改めFujitsu M10をめぐる動きのほぼ1週間後に、日本でSPARC T5とSPARC M5が発表されたことになる。ということは、SPARC Mシリーズの後継はSPARC M5と見て取れるが、同じハイエンド向けのSPARCサーバであるSPARC M5とFujitsu M10の位置付けが現時点ではよく分からない。

 では、それがクリアになるのはいつか。それこそ、富士通がSPARC T5とSPARC M5を取り扱う形になったときである。ただ、先述したように、日本オラクルが今回発表したタイミングでは、富士通からは何の発表もなかった。富士通としてはSPARC M5とFujitsu M10の位置付けにとどまらず、今後UNIXサーバの自社ブランド化をどう広げていくのか、もしくはいかないのか、という判断に迫られているのかもしれない。

 日本オラクルの会見の質疑応答で、富士通はSPARC T5とSPARC M5をOEM販売するのか、と聞いたところ、前出のOracleのジョーンズ氏は「富士通とは契約交渉を行っているが、結論を言える段階にはない」と答えた。まだ決まっていないということだろうが、富士通関係者によると「取り扱うことで交渉している」ようだ。ただ、これまでと同様OEM販売を行うかどうかは不明だ。

 両社の関係はここにきて、お互いにそれぞれが開発した製品を融通し合っているようにも見えるし、ぶつけ合っているようにも見える。そうした中で筆者が印象に残っているのは、富士通が1月にSPARC M10を発表した際、同社の幹部が語った一言だ。

 「富士通とOracleの技術を結集し、UNIXサーバ市場で先行するIBMを打ち負かしてトップシェアを獲りたい」

 打倒IBMに向けて両社が今後どう動くか、注目しておきたい。

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