「米国市民よ、団結せよ!」 前国防長官が語るサイバー脅威の問題McAfee FOCUS 2013 Report(1/2 ページ)

開催2日目を迎えた「McAfee FOCUS」には、Intel プレジデントのレネイ・ジェームズ氏と前国防長官のレオン・バネッタ氏が登場。セキュリティのビジョンについてそれぞれの立場から語った。

» 2013年10月04日 09時30分 公開
[國谷武史,ITmedia]

 米McAfeeの年次セキュリティカンファレンス「McAfee FOCUS 2013」がネバダ州ラスベガスで開催されている。2日目となる10月3日の基調講演にはMcAfeeの親会社であるIntel プレジデントのレネイ・ジェームズ氏と、前国防長官でCIA長官も歴任したレオン・パネッタ氏が登壇。サイバーセキュリティに対する思いを語った。

オプトインのセキュリティから脱却せよ

 基調講演ではジェームズ氏とパネッタ氏がスピーチを行った後に、McAfeeプレジデントのマイク・デシーザー氏が両氏とQ&Aで対談するという形式が取られた。

Intelプレジデントのレネイ・ジェームズ氏

 まず、ジェームズ氏は「これからのセキュリティは今までとは違う」とコメント。デバイス中心のセキュリティから人間を中心に据え、情報分析によって脅威を可視化し、先手を打っていくというビジョンを提示した。

 ジェームズ氏は、1987年にIntelに入社して以降、データセンターやオープンソースソフトウェア、スマートフォンなどを担当し、Intel子会社のHavokやMcAfee、Wind Riverの会長を務めた後、今年5月に現職に就任した。2010年のIntelによるMcAfee買収を手がけた人物で、特にソフトウェア領域を中心とするIntelの戦略を指揮してきた人物だ。

 「今も、なぜ半導体企業のIntelがセキュリティに参入しているのかについて疑問を持つ人はいるだろう」。ジェームズ氏は会場にこう問いかけ、McAfee買収の意義とIntelがセキュリティ分野に取り組む狙いについて説明した。

 その理由は、「Internet of Things(モノのインターネット)」という時代を見据えたからだという。世の中のあらゆるものがインターネットに接続され、相互に情報をやり取りするようになる。そのようなデバイスは近い将来に全世界で数百億台規模に達すると予想される。

 Intelはこれを推進する立場から、情報の保護、セキュリティが非常に重要になると考えている。「デバイスからデータセンターまで一貫したセキュリティが求められ、それはソリューションでなければならない。Intel単独では不可能だが、デバイスからデータセンターまで一貫したセキュリティを手がけるMcAfeeと一緒になれば可能になると判断したからだ」(ジェームズ氏)という。

 ジェームズ氏によれば、McAfeeとの協業で実現したいとするセキュリティの方向性は、「セキュリティをオプトインではなくビルトインにし、ベースラインを高めて、心配の無い世の中を実現すること」だとしている。「それが本当のユビキタスコンピューティングであり、この先2年の間に劇的に変化していく」(ジェームズ氏)という。その具体的な戦略を近く発表することを予告した。

分散コンピューティング時代を見据える

 ジェームズ氏とデシーザー氏の対談ではデシーザー氏がIntelのセキュリティビジョンをより詳しく尋ね、ジェームズ氏が応える形で進む。

デシーザー 今後のセキュリティトレンドはどうなるのか。

ジェームズ 再発明の時代が来る。それは「キーボードが必要なのか」「タブレット端末は大きな電話機なのか」といった議論ではない。今のモバイルコンピューティングの普及は、1990年代のPC普及と似たものであり、音声やタッチ入力といったユーザーフレンドリーな情報の入出力技術の実現と相まって起きていることだ。

 今後のコンピューティングモデルは再び分散化が進み、デバイス同士がアドホックに情報をやり取りする。そこでの懸念事項がまさにセキュリティであり、常にアイデンティティも付いて回るようになる。コンテクストを含んだ極めて高度な情報がやり取りされる中で、脅威につながる兆候を発見し、大切な情報を守っていけるようにしないといけない。

ジェームズ氏(左)とMcAfeeプレジデントのデシーザー氏の対談。Intelが目指すコンピューティングとセキュリティの関係が語られた

デシーザー Intelはまだモバイルで成功を収めていないと言われていますが。

ジェームズ そのモバイルとは“電話”のことではないか? 薄利多売の“電話”市場はビジネスが非常に難しい世界であり、ユーザーもあまりセキュリティを意識していない。

 しかし、デバイスが相互に接続される世界でみると、セキュリティは非常に重要なものであり、IntelとしてはAtomのようなプロセッサからデータセンターインフラまでの製品にソリューションの実装を進めている。ここでは一見すると競合と呼ばれる企業ともパートナーシップを結び、一緒に安心・安全な世界を実現したいと考えている。

デシーザー この先の2年でセキュリティが変革されると言及したが、何が最も大きく変わるのか。

ジェームズ まず理解いただきたいのは、変革には時間を必要とすること。何が必要なのかを知ることから始まる。その取り組みを継続しているが、ようやくゴールが見てきた。そのゴールを期待していただきたい。

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