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» 2013年10月18日 08時00分 UPDATE

萩原栄幸の情報セキュリティ相談室:ソーシャルメディアの人気企業から取引依頼、商社の部長が信じたもの (1/2)

ある企業から好条件の取引を打診された商社の部長がピンチに陥った。ソーシャルメディアでの評価が高く、信用してその取引に応じたという。なぜ、彼はピンチに陥ったのだろうか。

[萩原栄幸,ITmedia]

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 東京・新宿に本社を構える上場会社のA商社に勤める古い知人・B氏が筆者の講演を受講し、「今夜食事でもどうか?」と誘ってきた。その表情はとても暗く、多忙だったが気になり、近隣の個室付きレストランで話を聞くことにした。さて、今回はどういう状況だったのだろうか。

(編集部より:本稿で取り上げる内容は実際の事案を参考に、一部をデフォルメしています。)


 A社は一部上場の国際的な商社ほどではないが、そこそこ有名な企業である。そこでB氏は総務部の部長をしている。筆者はB氏が30代の頃に一緒に仕事をした関係で、今では50歳前後になり、貫禄も出できた。サーフィンが好きで日焼け顔が印象的だった。それが、浮かない顔をしているので、食事が来る前に原因を聞いてみた。


 彼は「だまされたんだ」と切り出した。しかも、そのことが分かったのは2日前で、本来なら筆者の講演を聞いている場合では無かったという。だが、役員から「講演を聞いて重要なところだけでも報告してほしい」との指示があり、聴講しないわけにもいかなかった。そこで出席してみたら講師が筆者だと分かり、昔一緒に苦労をしたことを思い出して食事に誘ったということだった。

 B氏によれば、1カ月ほど前にサーファー仲間のC氏から珍しくメールが来た。その内容は、「知り合いのレンタル会社が資金繰りに困り、回転率の低い物件を格安で売りたい」というものである。

 C氏が経営する会社では以前に、株主総会の出席者のために用意するパイプ椅子のレンタルを忘れたことがあった。その時、B氏が死にもの狂いで掻き集めて事無きを得たという。C氏はB氏の勤め先が商社ということもあり、この出来事を思い出してB氏に話を持ちかけたらしい。C氏の知り合いのレンタル会社が売りたいというのは、レンタル用の大量のパイプ椅子であった。

 ただしC氏は、その会社について面識が無いという。たまたま、あるサークルのFacebookで紹介され、その会社のページを見てみると、「いいね!」が3000件以上もあった。これなら大丈夫だろうとB氏に仲介することにしたそうだ。

 B氏は総務部長という立場でもあり、自社以外に子会社や関連会社での催事対応を考慮すれば、パイプ椅子を売りたいという会社の話は検討の余地があるものだった。価格次第だが、購入しても良いだろうと考えたそうだ。

 その会社についてB氏は、C氏と同じように企業サイトやFacebookの「いいね!」の数、その他の情報などをインターネットで確認し、さらに、実際のパイプ椅子があるかも心配だったので、代表電話にも連絡して確認をしたという。結果として、「C氏の紹介だ」とその会社に話をしたところ、現状について詳しく説明があった。2年前に大量のパイプ椅子を購入してしまい、即決なら3000脚を一括で売りたいということだった。

 A商社としては初めての取引先になるため、B氏は「信用照会などの社内の手続きが必要」と説明したらしい。すると、その企業は「実は早急に現金化したい。既に別のところから打診があり、3000脚全てを1脚あたり120円で買い取るといっている。それはあまりにも安い。もし御社(A商社)が即決で振り込みをしてくれるなら、1脚あたり200円でお譲りしたい。搬送はご希望に従う。振り込みされ次第、倉庫の場所をお伝えするので、今日にでも3000脚全てを引き取ってくれないか」と言われたそうだ。

 B氏にとっては確かに魅力的な条件だった。レンタル品とはいえ、まだ2年しか経過しておらず新品同様である。新品なら大量購入でディスカウントがあったとして1脚あたり1000円程度になる、それが200円だという。何よりレンタルすれば1週間でも1脚あたり300〜500円はしてしまう、それがたったの200円で自分の会社のものになるのだ。3000脚でも合計金額は60万円で、B氏の決済権限の範囲内でもあった。

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