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» 2013年12月18日 08時00分 UPDATE

クラウドファースト時代の運用ベストプラクティス:VM1000台を1人で管理できますか? クラウド前にやるべきこと (1/2)

企業内で増殖し続ける仮想サーバの管理が破綻しかけはいないだろうか。クラウドも加わるとなると、もはや絶望的かもしれない……。ガートナー 主席アナリストの長嶋裕里香氏に、ユーザー企業の現状や課題を克服するための方法を聞く。

[國谷武史,ITmedia]

 物理サーバを仮想化し、クラウドを組み込んでいく――企業のITインフラ環境は、ここ数年で大きく変わろうとしている。しかし、運用の現場は昔と変わらないままというところが少なくないようだ。“クラウドファースト”な時代を迎える今、ITインフラをどう運用していくべきかについてガートナー ジャパン ITインフラストラクチャ&セキュリティ 主席アナリストの長嶋裕里香氏に聞いた。

人海戦術の限界はどこに?

gartner01.jpg ガートナー ジャパン ITインフラストラクチャ&セキュリティ 主席アナリスト 長嶋裕里香氏

 サーバを仮想化するメリットの1つは、稼働に必要なハードウェアの点数を削減できる点だろう。それと同時に、サーバ構築も簡単になる。必要な時にすぐにサーバを調達できるので、企業内では仮想サーバがどんどん増えていく。しかし、サーバの運用管理にあたる人的リソースが増えているわけではない。1人の担当者が管理する仮想サーバの台数が増えると、担当者の負担も重くなる。

 多くのユーザー企業から相談を受けるという長嶋氏は、「所感ではあるが、仮想サーバが200台、300台程度までなら“人海戦術”で運用を乗り切ってしまう企業が多い。しかし、500台以上になるとどうか。1000台以上が稼働するある企業は、運用を回すことができない状況でも『とにかく人を投入するだけ』と話していた」と語る。人海戦術で管理できる仮想サーバの台数は500台前後が限界であるようだ。

 仮想サーバは簡単に増せるだけでなく、稼働環境を簡単に移動させることもできる。移動先が外部のクラウドサービスだった場合、管理者が見るべき範囲は一気に拡大する。クラウド側の構成やオンプレミスとの接続環境なども考慮しなければならないが、その中身は非常に複雑だ。万一の障害で速やかに問題を切り分けたり、原因を特定して対処したりできるだろうか。

 管理サーバの増加に応じて人的リソースを投入し続ける昔ながらの運用は、結局はコスト高を招き、対応に要する時間も減らない。人的ミスが発生する確率も高まる。良いことがほとんど無いと言っても過言では無いだろう。「サーバが増えて自動化ツールを利用したり、標準化されたプロセスを適用したりしなければ、人が管理できない状況に陥ることは最初から分かっていたと思うが、『こんなはずではなかった』という企業は多い」(長嶋氏)

 こうした状況が改善されない背景には、「人間が一番信頼できる」という“信仰”が存在しているためだと長嶋氏は指摘する。

 例えば、日本企業はシステムを構築する段階から高い品質を追求するため、運用を始めた段階で既に100%近い安定性を実現できているケースは少なくない。その安定運用が維持されるのも、経験豊富な管理者の努力によるものと言える。ただしそうした仕組みが機能するのは、システムが個別に構築、運用される昔ながらの環境までだった。

 仮想化によってサーバを短時間で手軽に構築できるとなると、それを必要とする企業のビジネスもスピードも速まる以前なら数カ月から数年を費やしてシステムを設計、開発、検証することができた。ところが、仮想化が進めば進むほどその作業に割くことができる時間は短くなる。一方で構築、管理しなければならないシステムは増える。1つのシステムの品質を、時間をかけて高めていくという人的な対応では、いずれ限界が来るのは明らかだ。それを乗り切るには、ツールやテクノロジーの活用が不可欠だろう。

 「ある程度の品質で量的な作業を実行する能力は人よりテクノロジーの方が優れている。人は100%に近い品質を実現できるが、量的な作業を実行する能力はテクノロジーに及ばない。今の日本企業では後者が重視されている」(長嶋氏)

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