2014年 IT市場のメガトレンドを読むWeekly Memo

2014年のIT市場はどう動くか。IDCが先頃発表した国内IT市場の予測を踏まえながら、メガトレンドを読んでみたい。

» 2014年01月06日 08時00分 公開
[松岡功,ITmedia]

 2014年が始まった。そこで今回は、新年のIT市場のメガトレンドについて、IDC Japanが先頃発表した国内IT市場予測を踏まえながら読んでみたい。

「第3のプラットフォーム」がメインストリームに

 2014年のIT市場におけるキーワードとしては、「モバイル」「ソーシャル」「ビッグデータ」「クラウド」の4つが挙げられる。これらはIDCが言うところの「第3のプラットフォーム」である。2014年のIT市場は、この第3のプラットフォームが中心になり、ますます進化していく年になるだろう。

 その進化も、それぞれの領域で起きるとともに、連携・統合して新たなソリューションが創造されていくだろう。第3のプラットフォームについては、これまでも注目されてきたが、2014年はIT市場のメインストリームになるというのが、まさしくメガトレンドである。

 では、それぞれに見ていこう。まず1つ目のモバイルについては、IDCは次のように予測している。

 「国内の携帯電話総出荷台数に占めるスマートフォン比率が2014年に約86%に達し、出荷台数も前年比8%増と鈍化する見込みから、スマートフォンはコモディティ化していく。一方、タブレット市場は2014年も前年比20%超とプラス成長すると見ているが、消費者向け市場では平均販売価格の下落が激しく、PC市場の落ち込みをカバーできる見込みはない」

 「このような状況下で2014年は、国内通信事業者でモバイル領域における新規事業の探索が本格化すると考えられる。モバイルデバイスベンダーは、家庭市場から法人市場に軸足を移し、業種特化型の付加価値ソリューションに活路を見出そうとするだろう」

 IDCが言うように、国内通信事業者は今、こぞってモバイルベースのサービス事業に力を入れ始めている。

 2つ目のソーシャルについては、IDCは次のように予測している。

 「2014年には多くのユーザー企業が競争力強化のために、ソーシャル技術を利用したマーケティングを開始するだろう。その際、社内外の情報をリアルタイムで分析し、最速で店舗・営業・顧客サポートにフィードバックする要求が出始める。これに対応したSNS情報提供に対する要求が増加し、クラウド上でSNS情報収集および顧客情報分析サービスを提供するベンダーが2014年末までに大幅に増加するだろう」

 「このことは、ソーシャル技術を利用したマーケティング活動がクラウド上で進展し、特定のエコシステムを形成し始めることを意味している。ITベンダーは生き残り戦略として、エコシステムを形成する主体になるか、相乗りするのかを決断する時期が来るだろう」

 この領域については、筆者も「エンタープライズソーシャル」について一言述べておきたい。社内の情報共有を目的としたエンタープライズソーシャルは、グループウェアやタレントマネジメント、プロジェクトマネジメントなどのさまざまなアプリケーションと連携・融合しながら進化していくと考えられる。企業のIT利用環境におけるソーシャルの存在はさらに大きなものになっていくだろう。

問われるベンダーの提案力と実施能力

 3つ目のビッグデータについては、IDCは次のように予測している。

 「2014年は、ビッグデータを応用した成功事例の蓄積を追い風にして、その利用範囲が拡大していく。大規模案件においては提案力や実績、専門性の選定基準によって、ベンダーがふるいにかけられるだろう」

 「ユーザー企業は、ビッグデータの成果である投資対効果や収益に対する評価をITベンダーに求めるため、ベンダーの提案力と実施能力が問われることになるだろう」

 ビッグデータについては、以前も本コラム「ビッグデータ活用ソリューションの課題」(2013年11月18日掲載)で、「さまざまな製品・サービスやそれらをまとめたソリューションが登場してくる中で感じるのは、こんなことができそうだ、という話ばかりでユーザー視点でのコストパフォーマンスがさっぱり見えてこないことだ」と述べた。IDCが後段で指摘していることと同じだ。2014年はそのあたりがもっとクリアになってくるだろう。

 4つ目のクラウドについては、前回の本コラム「2014年のクラウド市場予測」(2013年12月24日掲載)で詳しく取り上げたので参照いただきたい。

 以上、述べてきたように、2014年のIT市場は、第3のプラットフォームがまさしくメインストリームになる年である。ユーザー企業は自社のビジネスやマネジメントと照らし合わせて、この新たなプラットフォームをどう取り入れていくのか。また、ITベンダーはどのようなソリューションでユーザー企業の要求に応え、さらに新たな提案を行って価値を生み出していくのか。それ次第で、ユーザーもベンダーも競争力に大きな差がつく1年になりそうだ。

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