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» 2014年03月31日 08時00分 UPDATE

Weekly Memo:オフコンをクラウド化した富士通の意図

富士通がオフコン利用環境のクラウド化に乗り出した。その意図を探ってみたい。

[松岡功,ITmedia]

既存顧客から高まってきたクラウド化ニーズ

 富士通が3月25日、オフコンのハードウェアリソースをクラウド化し、IaaS型サービスとして提供する「FUJITSU Cloudオフコンサービス」を4月14日より提供開始すると発表した。同社によると、オフコンベンダーがこうしたクラウドサービスを提供するのは業界で初めてという。

 新サービスは、オフコン用OS「FUJITSU Software ASP」(以下、ASP)が動作するプラットフォームを配備した同社のデータセンターに、顧客企業がネットワーク経由でアクセスし、必要とするオフコンシステムリソースを月額料金で利用できるようにしたものだ。

 こうしたIaaS型サービスに加えて、オンプレミス環境からクラウド環境への移行をスムーズに実現するサービスや、クラウド環境移行後のシステム運用を支援するサービスも合わせて提供する。

 現在、同社が「FUJITSU Server PRIMERGY 6000」(以下、PRIMERGY 6000)の名称で提供しているオフコンの歴史は30年以上に及ぶ。ハードウェアとソフトウェアを一体化したオフコンは、導入後にすぐ使えることから、1970年代から80年代にかけて中堅・中小企業を中心に普及した。

 さらに、そのOS上で作られたアプリケーションソフトウェアは、OSが機能強化されても互換性が保証されてきたことから、多くの顧客企業が長年使い続けてきた背景がある。

 しかし、1980年代に登場したオープンシステムが台頭してくるにつれ、OSが独自であるオフコンはメインフレームとともに「レガシー」と呼ばれるようになり、90年代以降は減少傾向をたどりつつある。

 それでも同社のオフコンは、現在でもおよそ5000社が利用しており、台数ベースでは8000台ほどが稼働中で、アプリケーションは150万本に上るのではないかというのが業界筋の見方だ。

 オフコンの利用はこれまでオンプレミス環境が前提だったが、そうした既存顧客の間でも運用負担軽減や事業継続性強化を目的に、クラウド環境に対しての需要が高まってきているとして、同社は今回の新サービスの提供に乗り出した。

 新サービスを複合的に利用することで、顧客企業は既存のアプリケーション資産を、よりセキュアな環境で利用できるようになるとともに、プラットフォームの保守・運用作業が軽減される。さらに、業務量やデータ量の増減に応じて使用するハードウェアリソースを柔軟に変更できるなど、投資の最適化にもつながるとしている。

次のステップに向けた提案も視野に

 新サービスは具体的に次の4つのメニューで構成されている。

 1つ目は、現行オンプレミス環境のシステム規模に応じた「オフコンインフラ基本サービス」。PRIMERGY 6000のラインナップに合わせ、システム規模に応じてCPUやメモリ、ディスクなどのハードウェアリソースを提供する。

 2つ目は、業務量やデータ量の増減にも柔軟に対応可能な「オフコンインフラ拡張サービス」。基本サービスのオプションとして、メモリ・ディスク容量、LANポート数、LAN帯域などのハードウェアリソースを増減させることができる。

 3つ目は、顧客資産の移行を短期かつ確実に実施する「オフコン資産移行支援サービス」。オンプレミス環境からの環境定義情報の移行をはじめ、移行後の環境でのASPおよび関連ソフトウェアのインストール、バージョンアップ対応、業務データの移行を実施する。

 4つ目は、運用負荷軽減に向けた「オフコンプラットフォーム運用支援サービス」。定常的な電源ON/OFFからソフトウェアの不具合を修正するプログラムであるPTF(Program Temporary Fix)の適用まで、日常の運用作業を富士通が代行し、顧客の運用負荷軽減を図る。

 なお、サービス料金(税別)は、基本サービスが月額3万5000円から、移行支援サービスが一括で180万円から、運用支援サービスが月額12万円からとなっている。この料金を基に、オンプレミス環境とのTCO比較を同社に聞いたところ、「ケースバイケースで一概には比較できない」とのこと。そこでこの分野の事情通に聞いてみたところ、「コストダウンすることはそんなにないのではないか」との見方だった。

 では、オフコンの既存顧客が今回の新サービスを利用する割合はどれくらいになりそうか。富士通では今後3年間で300−400台の移行を見込んでいる。つまり、既存の稼働台数の5%弱にとどまる見通しだ。この数字からすると、大きなうねりにはならないようだ。

 これに対し、先の事情通は「アプリケーションの動作環境の関係からオフコンを継続して利用するユーザーは今後も一定数残り続ける。今回の新サービスはそうしたユーザーへの対処策といえる。ただ、富士通にとってはクラウド化を促進することで、そうしたユーザーにも次のステップに向けた提案がしやすくなるのではないか」との見方を示した。

 実は、オフコンの利用環境をホスティング形式で提供するサービスプロバイダーは、さまざまなサービス形態があるものの以前から存在している。それをオフコンベンダーである富士通が始めたところも今回の動きの1つのミソだ。今回の新サービスの発表に際し、同社はこんなメッセージを発している。

 「当社は今後もお客様がオフコン資産を確実に継承し、システムを長期的にご利用いただけるよう、ASPが動作するプラットフォームを提供してまいります」

 同社が今後、「ASPが動作するプラットフォーム」をどう進化させていくのか、注目しておきたい。

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