Windows XP最後のパッチとWindows 8.1 Updateの同時リリースは、実はこれからのWindowsにおいて非常に重要な意味を持っている。XP無き後の世界で企業はどう臨むべきなのか――。
2014年4月9日、Windows XP向けの最後のセキュリティアップデートがMicrosoftから提供され、12年半に渡るサポートが終了した。今後のXPはセキュリティ的に、非常に脆弱なシステムになる。例えばXPに対する「ゼロデイ攻撃」があったとしても、それに対応するセキュリティパッチはリリースされない。
このように、サポートが終了したXPはセキュリティ的には大きな問題をはらんでいる。このことは本連載でも解説し、他の記事でも指摘されているので、繰り返すまでも無いだろう。ただ、XPのサポートが終了してもすぐにWindows 8.1へ移行できないという企業もある。コストの問題や利用しているアプリケーションの問題など、様々な問題がハードルになり、移行できない。しかしこうした場合でも「できない」からといって、思考停止に陥るのでは無く、問題を細分化して対処できる部分から取り組む努力が必要だ。
XPからの移行にコストがかかるという場合、ハードウェアとソフトウェアに分けて考えてみるといい。XPがリリースされた2001〜2002年に発売されたPCを今もそのまま利用しているというユーザーは少ないだろう。2007年に全世界で発売されたWindows Vistaの頃に一度PCを買い換えたり、新たにを導入したりした企業は多い。
このときにVistaではなくXPにダウングレードしてPCを導入したというケースなら、ハードウェアの性能には目をつぶり、現在使っているPCへWindows 7/8.1を導入すればハードウェア代がかからない。また、XPとのデュアルブート環境を選択すれば(HDDに空き容量があれば)、新しいOSと古いOSの両方を切り替えて利用することもできる。
大きな問題はXPのみで動作するアプリケーションを仕事の中心に据えている場合だろう。まず、使用しているアプリケーションがバージョンアップによってWindows 7/8.1に対応できるならアップデートする。
一方、使用しているアプリケーションがカスタムアプリケーションであり、既に開発元のソフトベンダーが倒産してアップデート版も存在しないというケースは難しい。こういった場合、まずは代替えになるソフトウェアを探す。以前のアプリケーションのデータを引き継げる代替えソフトがあるなら、そのソフトに移行する。
自社のカスタムアプリケーションと全く同じようなソフトは、世界中探しても見つからない。それなら同じような業種で多数の採用実績があるソフトに移行する。アプリケーションを利用するユーザー(業務部門など)にとっては、使い勝手が変わるので最初は大変だ。それでも、ある程度の教育をすれば、何とか対応できるようになっていくだろう。
デュアルブートで古いアプリケーションはXP環境で利用するという選択だが、そもそも移行できないソフトをそのままにしておくこと、さらには仕事の重要な部分をサポートの無いOS環境に託していいのかという問題をはらむ。コスト的に許すなら、やはり代替えソフトに移行すべきといえる。
ハードウェアに関しては、今から3〜4年前に購入したものなら、Windows 7/8.1を十分動かすことができる。手間はかかるが、Windows 7/8.1をインストールすれば、ハードウェアは十分使えるだろう。もし10年前のハードウェアなら、そろそろ買い換えてもいい。新しいPCがコスト的に難しいというなら、Windows 7の中古PCも選択肢になる。ただ、新品のPCでも、最上位機種を選択しなければそこそこの金額で購入できる。
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