グリーンピースが「ダーティーエネルギー利用企業」AWSとTwitterを糾弾Computer Weekly

環境保護団体グリーンピースは、データセンターの電力に再生可能エネルギーを利用しているとしてGoogle、Facebook、Appleを称賛する一方、AWSとTwitterを非難した。

» 2014年06月04日 10時00分 公開
[Archana Venkatraman,ITmedia]
Computer Weekly

 環境保護団体グリーンピースは最新リポート「Clicking Clean(クリーンに向けたクリック)」の中で大手データセンター事業者の環境業績を取り上げ、IT運用におけるエネルギー効率の改善に向けた取り組みに関して、米Apple、米Google、米eBay、米Facebookを評価している。

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 同リポートではGoogle、Facebook、Appleについて、各社の再生可能エネルギーに対する取り組みから、「環境に優しい電力によるインターネットを率先している企業」と評価している。この点については米Yahooについてもある程度評価している。

 Facebookは、自社のITインフラを100%再生可能エネルギーで賄っている。Googleは、カーボンニュートラルな取り組みの一環として、自社設備の電力に風カエネルギーを利用している。Googleは、データセンター設備におけるエネルギー管理システムのISO 50001認証を取得した北米最初の企業となった。

 一方Appleは、自社のIT設備の環境エネルギー導入への取り組みをさらに強化するため、米オレゴンにあるデータセンター近くの水力発電施設を買収した。

 Appleは、GoogleやFacebookと同様、太陽エネルギー、地熱エネルギー、風カエネルギーも利用している。Appleの環境リポートによれば、IT設備に直接関係するカーボンフットプリントはわずか2%にすぎない。

ダーティーなエネルギーを利用する企業

 だが、エネルギー消費量や炭素排出量についての報告に透明性が欠ける点と、データセンターへの電力供給に環境エネルギーが限定的にしか使われていないことから、米Amazon Web Services(AWS)や米Twitterらを名指しで非難している。グリーンピースによると、Amazon、Twitter、米Digital Realtyなどの有名なデータセンター事業者は「過去のダーティーなエネルギーの利用から抜け出せないでいる」という。

 クラウドプロバイダーのAWSは、効率向上のみを追求し、再生可能エネルギーへの切り替えをほとんど行っていないと指摘されている。AWSは、主に石炭をエネルギー源として使用している。

 グリーンピースは、Amazonをエネルギー消費の点で「評価した中で最も透明性の低い企業」と評した。同団体のリポートでは、AWSの自然エネルギー使用量を15%と推定し、GoogleがIT運用に使用する自然エネルギー量の34%と対比している。

 また、同リポートで、米Microsoft、米Equinix、米IBM、英Telecityを、「環境に優しい電力によるインターネットの利用に取り組んではいるが、率先して対応しているわけではない」として中程度の評価を与えている。

 2012年、Microsoftはカーボンフットプリントを削減するため、「Carbon Neutral by 2013(2013年までにカーボンニュートラル企業になる)」という計画を導入した。だが、同団体によれば、Microsoft Azureには依然として「大きな弱点」があるという。

 「MicrosoftはこれまでRenewable Energy Credits(RECs)を購入することで炭素排出量を相殺する方法に頼りすぎてきた。書類上は環境に優しい企業に見えても、ダーティーな電力を利用しているという現状は変えていない」と同リポートは述べている。

 New York Timesが明らかにしたところによると、Microsoftは自社のエネルギープロバイダーから一定量の電力を利用しないと21万ドル(12万9000ポンド)の違約金が課せられることになっており、これを免れるため、米レドモンドのクインシーにあるデータセンターで何千ポンドもの電力を浪費しているという。同社は、ディーゼル補助発電機を動かし、データセンターの運営に必要な量以上の電力を消費していた。

 グリーンピースIT部門の英国代表を務めるアンドリュー・ハットン氏は以前Computer Weeklyのインタビューに答えて、「MicrosoftやAmazonなどの企業は、環境に優しい企業になり得る大きな可能性があるにもかかわらず、やるべきことを十分行っていない」と話していた。

 だが、Microsoftは最近、米テキサス州のデータセンター近くにある風力発電の長期間購入契約を交わした。これは、同社のデータセンターで自然エネルギーを利用する準備が整ったことを示している。

 一方、世界中に100を超える大規模データセンター設備を有するEquinixは、2012年に1830Gワット時の電力を消費している。これは家庭の平均電力消費量の16万2000世帯分に相当する。

 同団体は、米Salesforce.com、米Rackspace、英Telecity、米Oracle、米HPなどのクラウドプロバイダーのカーボンフットプリント削減についても、さらなる取り組みが必要だと報告している。

 クラウドプロバイダーのSalesforce.comとRackspaceは、自社設備で100%再生可能エネルギーを利用することを約束している。Salesforce.comは、再生可能エネルギーを利用するコロケーションプロバイダーと提携することも発表している。その具体例として、100%再生可能エネルギー利用する英国初のデータセンターを英NTT Europeと共同で設立している。

グリーンピースの目的

 今回公開された「Clicking Clean」リポートは、同団体が以前発表した「How clean is your cloud?(あなたのクラウドはクリーンですか?)」(2012)と「How dirty is your data?(あなたのデータはどのくらい汚れている?)」(2011)の2つのリポートの追跡調査リポートだ。

 ヨーロッパのエネルギー消費量の約2.5%をデータセンターが占めるようになり、この数値は毎年10〜15%ずつ増えている。2011年から2012年にかけてだけを見ても、データセンターの所要電力は全世界で24Gワット(2011年)から38Gワット(2012年)と、63%増加している。

 グリーンピースはRenewITプロジェクトもサポートする。このプロジェクトは、欧州委員会が3年間で360万ユーロ(290万ポンド)の資金を投入する調査プログラムだ。同プログラムのキャンペーングループによると、RenewITによって開発されるツールは、より多くのデータセンターが再生可能エネルギーの利用が経済的であることを理解し、再生可能エネルギーの導入を促進するのに役立つという。

 RenewITプロジェクトと同様に、都市部のデータセンターのエネルギー効率向上に取り組む企業や研究者からなるコンソーシアムにも、欧州連合(EU)から290万ユーロ(240万ポンド)の資金が提供されている。

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