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» 2014年07月28日 08時00分 UPDATE

「パーソナルデータ」の利活用に何が必要か? (1/2)

2015年に予定される個人情報保護法改正に関連して、政府では「パーソナルデータ」の利活用に向けた制度の整備が検討されている。6月に示された大綱での課題などについて、「パーソナルデータに関する検討会技術検討WG」メンバーでパブリックコメントを提出した日本HPに話を聞いた。

[編集部,ITmedia]

 政府のIT総合戦略本部は、2013年に着手した「パーソナルデータの利活用に関する制度」の見直しについて、6月24日に制度改正大綱を発表、7月24日までパブリックコメントを募集した。同日までに様々な意見が提出されているが、大綱で示された内容について不十分だとする意見は多い。「パーソナルデータに関する検討会」技術検討ワーキンググループメンバーで、意見書も提出している日本ヒューレット・パッカード チーフ・プライバシー・オフィサー兼ビジネス-ITアライメント エヴァンジェリストの佐藤慶浩氏に話を聞いた。

グレーゾーンの解決で済むのか?

 「パーソナルデータの利活用に関する制度」の見直しが検討されている背景には、2005年の個人情報保護法施工から10年近くが経過し、この間のITの発展によって多種多様なデータを新規事業の実現や、社会を取り巻く課題の解決に活用していける可能性が高まってきたためとされる。

 ただし個人に関連するデータ(パーソナルデータ)の利活用については、現行の個人情報保護法の運用状況や、プライバシーに対する社会的な意識の高まりなどから、大綱では「利活用の壁」を生じさせる「グレーゾーン」の存在と、「個人の権利利益の侵害」を未然に防止することを課題に挙げる。グレーゾーンとは(1)「個人情報」の範囲についての法解釈の曖昧さ、(2)事業者が順守すべきルールの曖昧さ――とされ、制度改正によってグレーゾーンを解消し、パーソナルデータの利活用を実現する仕組み作りが大綱の趣旨となっている。

hp_mrsato.jpg 日本HPチーフ・プライバシー・オフィサー兼ビジネス-ITアライメント エヴァンジェリストの佐藤慶浩氏

 佐藤氏は、まず大綱でいうグレーゾーンが上記の2つであることに疑問を呈す。「例えば、JR東日本がSuicaのデータを社外提供して問題になったケースは、個人情報の範囲が曖昧という1つ目の点に関連する。では、個人情報の範囲が明確になれば解決に向かうのだろうか」

 この点について提出されたパブリックコメントの幾つかには、「個人情報の範囲に○○を加えるべき」との意見も見受けられる。「個人情報の範囲が明確なれば、グレーゾーンにあったJR東日本の提供しようとしたデータが『白』か『黒』かはっきりするだろう。仮に『黒』だと判断されれば、パーソナルデータの利活用は難しくなる。そうしたアプローチは、そもそも制度改正が目標としているところの『利活用の実現』という趣旨にそぐわないことにならないか」

 佐藤氏は、制度改正によって個人情報の範囲が曖昧というグレーゾーンの解消には至らないとみている。グレーゾーンといわれる情報の多くはそのままグレーゾーンとして残ることが予想され、一部の情報については個人情報に当たるか否かが判断されるだろうという。

 データ利活用に対する規制は、国内の現行制度では個人情報の範囲に基づいて行われているとの指摘が多い。つまり、現行の個人情報保護法で規定されている5001件以上の個人情報を取り扱う事業者を対象に、利活用しようとする情報が法律の規定に該当するどうかで判断される。

 仮に今回の制度改定の観点が個人情報の範囲の明確化に寄ってしまうと、その線引きを巡る議論はいつまでも平行線をたどることになりそうだ。「範囲を広げるべきという保護したい側の主張と、範囲を狭めるべきという利活用したい側の主張が折り合うことはない」

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