知ってますか? 便利な「Windows Embedded 8.1」の使い道「Windows Embedded」を企業で使い倒す(1/2 ページ)

「Windows Embedded」をご存知だろうか。「Windowsの組み込み版?」と考えている人が大半だろう。本連載では、知られざる「Windows Embeddedの企業内活用法」を紹介していく。初回となる今回は、特に有効なロックダウン機能を紹介する。

» 2014年10月21日 08時00分 公開
[橘浩平,日本マイクロソフト]

法人利用におけるWindows Embedded OSの立ち位置は?

 Windows EmbeddedというOSをご存じだろうか?

 Windows Embeddedファミリー(以下、Windows Embedded)は特定用途での利用を想定の下に開発されたOSであり、一般的な社内でのOA機器としての利用を想定に開発されたWindows OSとは異なるラインナップとなる。

 Windows Embeddedが利用される特定用途の代表的な例としてはPOS端末やデジタルサイネージ、ATM端末などが挙げられる。これだけを見れば、「Windows Embeddedは特定の業種だけで利用される特別なOS」というイメージを持つかもしれない。

 しかし、最近では情報漏えい対策への意識の高まりやワークスタイル変革の検討・普及に伴い、仮想デスクトップ方式(VDI)を採用する企業が増えており、通常の「Windows OSを搭載したWindowsデバイス」ではなく、「Windows Embeddedを搭載したWindowsデバイスを仮想デスクトップ方式(VDI)の接続元端末」にする、いわゆるシンクライアント端末として利用するケースが増えてきている。

 特定用途としてデバイスを利用するには「限られた機能しか利用しない」か、あるいは「必要のない一部機能を制限して利用する」のが一般的だ。その点、Windows Embeddedには、通常のWindows OSには用意されていない「機能制限(ロックダウン)機能」が含まれている点が大きな特徴だ。

 シンクライアント端末を例に挙げてみよう。

 シンクライアント端末として利用するには、セキュリティ上の理由から、ローカルのハードディスク上にデータを残さないようにすることが一般的な要件として求められる。通常のWindows OSの標準機能ではこの要件を満たすことが難しいが、Windows Embeddedが持つロックダウン機能によって、ローカルのハードディスク上にデータを残さないようにすることが容易に可能だ。

通常版WindowsとWindows Embeddedの違い

こんなところで利用できる! 法人におけるWindows Embeddedの活用シナリオは?

 前述のようにWindows Embeddedには、通常版に含まれていないロックダウン機能が含まれており、その機能を特定用途で活用することができる。

Windows Embeddedの活用シナリオ

 では、どのような活用シナリオがあるのかを具体的な例でいくつか挙げてみよう。

ホテルの客室端末として

 ホテルの客室には毎日異なる利用者が訪れるため、客室端末には以前の利用者が使った環境をリフレッシュすることや、利用者のITリテラシーに依存することなく客室端末を簡単に使えるようにする配慮が必要となる。

 Windows Embeddedのロックダウン機能を活用すれば、以前の利用者が使った環境をリフレッシュしたり、特定のアプリケーションしか利用できないようにすることで、Windowsの操作方法に詳しくない人でも操作を迷わないようにできる。

学校の授業用の端末としての利用

 最近では、授業でタブレットデバイスを電子教科書として利用するケースも増えてきているが、生徒の目的はタブレットデバイスを使いこなすことではなく、電子教科書で学習することだ。

 タブレットデバイスを操作するためのジェスチャー操作を制限し、電子教科書用のアプリケーションしか利用できないようにすれば、生徒のITリテラシーに依存せず、タブレットデバイスを電子教科書端末として利用できる。Windows Embeddedの持つロックダウン機能を活用すれば、特定のアプリケーションしか利用できないようにすることや、タブレットデバイスのジェスチャー操作の無効化も簡単に実現可能だ。

店舗端末/チェックイン端末/受付端末としての利用

 不特定の利用者がかかわる店舗端末やチェックイン端末、受付端末においてもWindows Embeddedのロックダウン機能が活躍する。

 利用者が操作に迷わないように特定のアプリケーションだけを利用させたり、利用者によるジェスチャーやキーボードのコンビネーションキー等によるシャットダウン等の“望まない操作”を制限することも簡単に実現できる。

在宅勤務/ワークスタイル変革/情報漏えい対策におけるシンクライアント端末としての利用

 前述のように在宅勤務やワークスタイル変革、情報漏えい対策の基盤として仮想デスクトップ方式(VDI)を採用される法人も増えている。

 仮想デスクトップ方式(VDI)を選択する理由としては、場所に依存せず社内のリソースにアクセスできることにあるが、同時に社外に存在するデバイスに社内のデータを残したくないといった要件も伴う。Windows Embeddedが持つロックダウン機能を活用すれば、社外のデバイスに社内データを残さないようにすることも簡単だ。

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