日本IBM 常務執行役員などを務めた松崎氏が、APCなどを傘下に据えるシュナイダーエレクトリックの副社長に就任。2015年の事業展望を述べた。
エネルギーマネジメント大手 シュナイダーエレクトリックの代表取締役副社長兼IT事業本部バイスプレジデントに元IBM常務の松崎耕介氏が就任。今後の事業展望を語った。
シュナイダーエレクトリックは仏Schneider Electric(1836年創業)の日本法人。エネルギーマネジメントのスペシャリストとして、ビル全体の消費エネルギー効率運用のためのソリューション、高効率なソーラー発電向けソリューション、電力需給安定化を実現化するデマンドレスポンス事業、データセンターやサーバルームの運用効率のサポートを中心に据えたIT事業など、エネルギー/電力に関わる事業を包括的に展開する。2007年に傘下としたUPS(無停電電源装置)トップシェアのAPCブランドほか、産業用インタフェース開発のデジタル、産業用インバータ開発の東芝シュネデール・インバータ(東芝との合弁)、受配電機器および制御機器開発の富士電機機器制御(富士電機との合弁)、産業用プロセスオートメーションのインベンシスプロセスシステムズなどを拠点に活動する。
松崎氏が管轄する担当するIT事業とエネルギー/電力に関しては、データセンターやサーバルーム、IT設備だけではなく、オフィス、ビル、工場やプラント、あるいは街全体など、いかに包括的にエネルギーの効率を上げていくかを考えることが今後いっそう重要になってくる。あらゆるものがネットワークにつながるIoT時代の到来により、2020年には500億台規模のデバイスがネットワークにつながるようになるといわれている。あらゆる情報のデジタル化が急速に進む、つまり爆発的な勢いで増えたデータを管理、記録するための機器や設備、そしてそれを動かす電力も膨大になる。この電力をいかに効率的に運用するかに主眼を置き、包括的なソリューションを用意するのが同社の大きな強みという。
2015年はデータセンターやサーバルームの効率的運用の包括コンサルテーションなども行う「データソリューションビジネスの拡大」、空調管理とサーバラックをまとめて省スペースサーバルームとする「データセンターin a boxソリューションの提供」、APCブランドを軸にした企業向けおよび個人/SOHO向け「小型UPS市場の継続的な成長」に重点を置く。
特に「中規模(200ラックほどまで)のデータセンター、社内サーバルームを持つ顧客」を主力ターゲットに据える。これまでの「IT設備はIT部門、電力/ファシリティは総務・管理部門」といった分け方ではない、ITとファシリティの架け橋となるエネルギー運用のパートナーとしての位置付けを明確にする方針を打ち出し、知名度の向上も図っていく。
「シュナイダーは非常に歴史がある企業。電力・エネルギーに特化して、これからの時代に非常に重要となるテクノロジー、ソリューション、製品、サービスを提供している。今まではIT機器はIT担当者、ビル管理は別の部門と別々にやっていた。本当にデータセンター全体としてどう運用すべきかを考える時期に来ている。IT機器だけではない、全体的に提案できるソリューションを提案できるのが強み。IBMで長年営業活動をしてきた経験を生かし、もっとシュナイダーの持ついいソリューションを日本のお客様に届けたい」(松崎氏)
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