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» 2015年03月27日 08時00分 UPDATE

テクノロジーエバンジェリスト 小川大地の「ここが変だよ!? 日本のITインフラ」:第7回 機能の多さで決めたのに「使いこなせていない」なんて……

日本のITインフラ導入の現場は、「ガラケー」を思い出す雰囲気がある。でも、機能の多さや○×表まで作って吟味したのに、運用フェーズに入るとそれがあまり生かされていない……ことがある。

[小川大地(日本HP),ITmedia]
photo サーバにリミッターが付いていること、ご存じでしたか?

 前回、欧米のITインフラ部門が「標準機能を把握」「メーカー推奨を理解」して導入していることをご紹介しました。この2つは、日本の多くの現場で見られる悪循環から脱却するために、とても重要なことだと思います。

 前者の標準機能について考えてみましょう。「当たり前のことをいまさら……」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。「うちは製品を選定する際に『比較表』や『○×表』を作って検討している」という声も聞こえてきそうです。

 しかしながら、○×表まで作って機能を吟味したはずなのに、実際には使われていないといった話もよく耳にします。使わないだけならまだマシです。場合によっては「使いこなせていない」ことで、トラブルを引き起こしたり、損をしてしまうかもしれません。


サーバのBIOS設定やECOモード、使いこなせていますか?

 システム調達の多くで発注されるであろう「サーバ」を例に考えてみましょう。みなさん、サーバを使いこなせている自信ありますでしょうか?

 ハードウェアも年々進化し、サーバ機のBIOSにはたくさんの設定項目が並ぶようになりました。例えば、エアコンや洗濯機のような「ECOモード」がBIOSやOSの中に搭載されていることはご存じでしょうか。10年近く前から搭載が始まり、昨今の社会事情を考慮してか、ここ数年のモデルでは工場出荷時からオンに設定されています。そこで、サーバのECOモードが引き起こすトラブルをご紹介しましょう。

 一般的なサーバにおいて、電力消費が激しいのはCPU、メモリ、I/Oの3つです。サーバのECOモードはこれらの処理能力を抑えることで節電を実現しています。手法はいくつかありますが、最も分かりやすいのが“リミッター”です。

 サーバに搭載するCPUとしてクロック周波数が3.2GHzのものを選んだとします。何も考えずに使うと、そのCPUは最高性能の約8割、2.6GHzくらいしか性能を出しません(緊急信号を受け付ければリミッターが解除されます)。しかし、これでは3.2GHzのCPUを購入しても、より安価な2.6GHzのCPUと変わらないことになります。参考までに、3.2GHz版のサーバ向けCPUは1個あたり48万円ほどです(2015年3月現在)。これに対し、2.6GHz版は22万円ほど(同)で販売されています。

 CPUを例に挙げましたが、同様の機構はメモリクロックやI/Oバスにも搭載されています。せっかく投資したハードウェアが本来の性能を出せないというのはもったいないどころか、無駄遣いとも言われかねません。

特に、仮想基盤やDBサーバなどでは意識が必要

photo サーバのECOモードとGUI設定ツールの一例

 特に、仮想基盤やDBサーバなどでは意識が必要です。3.2GHzとCPUから報告されているにも関わらず、実際の性能はリミッターによって2.6GHzに制限されます。これは、インテリジェントなソフトウェアであればあるほど混乱し、クロックの差以上の性能トラブルを引き起こすのです。仮想基盤では「この仮想マシンは上限2GHz」「この仮想マシンは最低1.5GHz確保」といったように、ハイパーバイザーがCPUクロックを基準に複雑な制御を行っています。ここで、最低1.5GHzの仮想マシンを2つ動かす場合、この2つは3.2GHzのCPU 1個で足りるはずですが、リミッターによって2.6GHzに制限されているために問題が生じます。

 いずれはハイパーバイザーが気づいて対処するのですが、時間の大幅なロスと再計算処理にて業務性能は予想以上に低下してしまいます。これでは、せっかくの高性能CPUがもったいない。

 今回は例に挙げたECOモードのように、BIOSの設定1つでも性能が大きく左右することがあります。Software-Definedの広がりによって、これまで専用アプライアンスだったストレージ機器やネットワーク機器すらも、Software-Defined Storage(SDS)、Network Function Virtualization(NFV)としてx86サーバ上で動かすケースが増えていますから、BIOSの設定値について理解を深め、正しく管理するのはとても重要です。

 メーカー各社も対策を講じています。ECOモードの影響や効果を文書化するのはもちろん、ハードルの高かったBIOS設定はGUIで分かりやすく確実に設定できるようになりました。



 先日、「坂道がキツイ」と言っていた友人の自転車を見たところ、一番重いギアになっていました。どうやら変速機の使い方を知らなかったそうです。多機能であればあるほど、使いこなさないと逆効果になってしまいます。では、このような知識を効率的に得る方法について、欧米企業を参考に考えてみましょう。

(次回につづく)

小川大地(おがわ・だいち)

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日本ヒューレット・パッカード株式会社 仮想化・統合基盤テクノロジーエバンジェリスト。SANストレージの製品開発部門にてBCP/DRやデータベースバックアップに関するエンジニアリングを経験後、2006年より日本HPに入社。x86サーバー製品のプリセールス部門に所属し、WindowsやVMwareといったOS、仮想化レイヤーのソリューションアーキテクトを担当。2015年現在は、ハードウェアとソフトウェアの両方の知見を生かし、お客様の仮想化基盤やインフラ統合の導入プロジェクトをシステムデザインの視点から支援している。Microsoft MVPを5年連続、VMware vExpertを4年連続で個人受賞。

カバーエリアは、x86サーバー、仮想化基盤、インフラ統合(コンバージドインフラストラクチャ)、データセンターインフラ設計、サイジング、災害対策、Windows基盤、デスクトップ仮想化、シンクライアントソリューション



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