日本のITインフラ導入の現場は、「ガラケー」を思い出す雰囲気がある。でも、機能の多さや○×表まで作って吟味したのに、運用フェーズに入るとそれがあまり生かされていない……ことがある。
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前回、欧米のITインフラ部門が「標準機能を把握」「メーカー推奨を理解」して導入していることをご紹介しました。この2つは、日本の多くの現場で見られる悪循環から脱却するために、とても重要なことだと思います。
前者の標準機能について考えてみましょう。「当たり前のことをいまさら……」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。「うちは製品を選定する際に『比較表』や『○×表』を作って検討している」という声も聞こえてきそうです。
しかしながら、○×表まで作って機能を吟味したはずなのに、実際には使われていないといった話もよく耳にします。使わないだけならまだマシです。場合によっては「使いこなせていない」ことで、トラブルを引き起こしたり、損をしてしまうかもしれません。
システム調達の多くで発注されるであろう「サーバ」を例に考えてみましょう。みなさん、サーバを使いこなせている自信ありますでしょうか?
ハードウェアも年々進化し、サーバ機のBIOSにはたくさんの設定項目が並ぶようになりました。例えば、エアコンや洗濯機のような「ECOモード」がBIOSやOSの中に搭載されていることはご存じでしょうか。10年近く前から搭載が始まり、昨今の社会事情を考慮してか、ここ数年のモデルでは工場出荷時からオンに設定されています。そこで、サーバのECOモードが引き起こすトラブルをご紹介しましょう。
一般的なサーバにおいて、電力消費が激しいのはCPU、メモリ、I/Oの3つです。サーバのECOモードはこれらの処理能力を抑えることで節電を実現しています。手法はいくつかありますが、最も分かりやすいのが“リミッター”です。
サーバに搭載するCPUとしてクロック周波数が3.2GHzのものを選んだとします。何も考えずに使うと、そのCPUは最高性能の約8割、2.6GHzくらいしか性能を出しません(緊急信号を受け付ければリミッターが解除されます)。しかし、これでは3.2GHzのCPUを購入しても、より安価な2.6GHzのCPUと変わらないことになります。参考までに、3.2GHz版のサーバ向けCPUは1個あたり48万円ほどです(2015年3月現在)。これに対し、2.6GHz版は22万円ほど(同)で販売されています。
CPUを例に挙げましたが、同様の機構はメモリクロックやI/Oバスにも搭載されています。せっかく投資したハードウェアが本来の性能を出せないというのはもったいないどころか、無駄遣いとも言われかねません。
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