マイナンバー2015

「消費税のマイナンバー還付」にITをもっと生かせないかWeekly Memo(1/2 ページ)

財務省が9月10日に提示した消費税率10%時の負担軽減案で、マイナンバー制度を活用する方針を示した。だが、課題も多いようだ。ITをもっと生かせないものか。

» 2015年09月14日 17時00分 公開
[松岡功ITmedia]

財務省が提示した「日本型軽減税率制度」とは

 財務省が2015年9月10日、2017年4月に消費税率を現在の8%から10%に引き上げる際の負担軽減案を与党税制協議会に提示した。「日本型軽減税率制度」と題した財務省案は、店頭での買い物時の消費税を10%にしたうえで、軽減対象となる「酒類を除くすべての飲食料品」については2%分を後で消費者に還付するというもの。与党は同案をたたき台に制度設計を詰めていく構えだ。

 財務省案で注目されるのは、その還付手続きに2016年1月に始まるマイナンバー制度を活用する方針を打ち出していることだ。

 具体的には、マイナンバーを記載した「個人番号カード」にICチップが付いているのを生かす仕組みで、消費者が対象品目を購入する際に、レジなどの端末でカードをかざし、消費税2%分相当の「還付ポイント」を取得。購入情報は政府が新設する「還付ポイント蓄積センター(仮称)」に各端末から自動的に送られ、個人ごとに蓄積される。消費者は手元のPCやスマートフォンなどでポータルサイトから還付ポイントや還付可能額を確認し、本人名義の振り込み口座を登録して還付を申請。口座振り込みで還付を受ける――という流れを基本的な手順としている。

photo マイナンバー通知カードと個人番号カード

 また、財務省案では検討課題として、「個人情報保護や情報セキュリティ対策に万全を期すとともに、還付手続きを含めて利用者の利便に最大限配慮する」とし、とくに「レジなどの端末から還付ポイント蓄積センターへの購入情報の送付やセンターでの購入情報の蓄積では、情報の暗号化を行うなど厳格かつ高度な個人情報保護と情報セキュリティ対策を講じる。レジなどでマイナンバーや基本情報(氏名、住所、生年月日、性別)を読み取らない制度・運用上の仕組みを検討する」ことを挙げている。

 さらに、この制度を施行する時期についても「マイナンバーカードの普及の見通しやマイナンバー制度に関する個人情報保護や情報セキュリティ対策の強化についての政府の取り組み、事業者の準備スケジュール、行政実務の準備スケジュールなどを見極めながら検討する」ことを挙げ、個人情報保護や情報セキュリティ対策、利用者の利便性、関係各所の準備の進捗度合いといったすべての要素に配慮していく姿勢を示している。

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