「.コム」が6月に一般解禁、VeriSign会長が語るドメインのこれからMaker's Voice

米VeriSignは日本語の新ドメイン「.コム」を6月から一般提供する。会長兼CEOのジェームズ・ビゾス氏にその狙いやドメインビジネスの今後を聞いた。

» 2016年03月31日 07時00分 公開
[國谷武史ITmedia]

 Webサイトのドメインの国際化(IDN)が2012年から始まり、現在は「日本語.com」などセカンドレベルドメインで各国の言語を利用できるが、6月13日からカタカナのトップレベルドメイン「.コム」の一般提供が新たに開始される。運営元となるVeriSignの創業者で会長兼CEOのジェームズ・ビゾス氏にその狙いや将来性を聞いた。

VeriSign 会長兼CEOのジェームズ・ビゾス氏

 VeriSignは、かつて国内ではSSLサーバ証明書事業の「日本ベリサイン」(Symantecが日本ベリサインを買収して現在はシマンテック・ウェブサイトセキュリティに)の親会社として知られていたが、現在はトップレベルドメイン「.com」「.net」を管理し、インターネットの根幹を支える事業にほぼ特化している。VeriSignでは「.コム」のほかに、「.com」の韓国語や中国語、タイ語、ロシア語など11言語によるサービス提供を順次開始する予定だ。

 「.コム」は、2015年12月から先行登録の受付が段階的にスタート。ビゾス氏によれば、既に日本の国内外から870社以上の利用申請があり、初期段階としては順調なスタートだとしている。

 新ドメインについてビゾス氏は、「いまや20億人以上がインターネットを利用し、英語以外の言語でドメインが利用されることは、インターネットの国際化という観点から非常に重要だ。カタカナのドメインはそこに日本語のコンテンツがあることを意味する。ドメインが身近な言語なら英語に慣れていないエンドユーザーも安心して利用できるし、ドメインを利用する企業にとってもエンドユーザーに安心を提供できる」と話す。

 近年のインターネット利用はモバイル化が進み、エンドユーザーがドメインを意識する機会が減りつつある。モバイルアプリならドメイン自体が表示されないことも多いだけに、企業が新たにドメインを取得する意義が以前よりも薄れているかのようにも思える。

 ビジス氏は、その可能性を認めつつも、むしろドメインがセキュリティの観点からより重要になると語る。「例えば、かつてFacebookが台頭した時代にドメインがいらなくなるという議論が起きたが、ドメインが必須であるのは今でも変わっていないし、モバイルアプリの利用も増えてきたが、モバイルブラウザを使うユーザーがいなくなることはまずない」

 同氏によれば、米国の調査ではインターネット検索で「.com」ドメインを重視するというユーザーが、2014年の49%から2015年は52%に増加したという。「フィッシングなどのサイバー犯罪の不安から、ユーザーは目的のWebサイトへアクセスするために、まずドメイン名を頼りにしている」

新ドメイン「.コム」の普及を目指すというビゾス氏

 VeriSignが管理する「.com」「.net」はインターネットの代表的なWebサイトで多数利用され、それがダウンすれば多くのユーザーがアクセスできなくなる。ビゾス氏は、「一見ドメインのビジネスは地味かもしれないがインターネットに不可欠であり、そのビジネスに注力し続けることがVeriSignの使命だ」と話し、新たな「.コム」ドメインでも日本のユーザーに貢献したいとしている。

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