オラクルが同社のクラウドサービスを、ユーザー企業のデータセンターで利用可能にした専用マシンを発表した。クラウドサービスを“箱”で提供する同社の思惑とは――。
日本オラクルが先頃、パブリッククラウドサービス「Oracle Cloud」を、ユーザー企業のデータセンターで利用可能にした「Oracle Cloud Machine」を国内で提供開始すると発表した。
米国本社が3月下旬に発表したもので、見た目はハードウェアだが、中身の機能を月額課金で利用できるようにした「パブリッククラウドサービスの新しい形態」(日本オラクルの杉原博茂 取締役代表執行役社長兼CEO)という。
Oracle Cloud Machineは、ハードウェア、ソフトウェア、クラウド管理、サポート、IaaSを月額料金で提供するほか、オラクルのデータベースやJava開発環境などのPaaSを定額または従量課金で提供。Oracle Cloudとの完全な互換性を備えつつ、オンプレミス(プライベートクラウドを含む)環境で利用することができる(図1参照)。
ユーザー企業にとってのメリットは何か。オラクルがまず強調するのは、自社のデータセンターにOracle Cloudを導入できるため、クラウドの利点を享受しつつ、データを外に持ち出す必要がないので、セキュリティ面や法規制面の制約をクリアできる点だ。
日本オラクルの本多充 執行役員クラウド・テクノロジー事業統括Fusion Middleware事業統括本部長によると、「例えば、金融業や公共機関では法制度上、データを外(クラウド)へ持ち出すことが規制されている。それに対し、今回のサービスではデータを手元に置いたまま、クラウドサービスを利用できるようになる」という。
また、オラクルが管理と運用を担当するため、ユーザー企業は自社データセンターにおいてもOracle Cloudと同様の操作性や利便性を享受し、常に最新の機能を使用することができる。さらにオンプレミスとクラウド間のハイブリッド利用に向けて、同一のツールセットやAPIを用いてワークロードの可搬性を実現したり、変化するビジネス要件に基づいてオラクルおよびオラクル以外のワークロードを容易に移動したりできることをユーザーメリットとして挙げている。
図2がOracle Cloud Machineの利用形態を描いたものである。多種多様なアプリケーション連携が図れる一方、既存システムとの連携や拡張性、さらにはハイブリッド利用によって幅広い用途に適用できるとしている。
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