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» 2016年05月13日 08時00分 公開

トップ営業の視点:IT苦手な営業女子が「2つの巨大案件」で学んだこと――明石沙弓さん (2/3)

[池田憲弘,ITmedia]

右も左も分からない“鉄の世界”

 研修を終え、明石さんが配属されたのは鉄鋼業のクライアント担当。製造業と言えば、電化製品や自動車というイメージを持っていた彼女は、配属に驚くとともに「鉄」について何も知らないことに対して焦りを覚えた。

 「今までの人生で“鉄そのもの”に触れることなんてないわけで、急いで『鉄と鉄鋼がわかる本』を読んで勉強しました……が内容が難しく、当時は半分ぐらい読んだところで挫折しました。配属直後の時期は本当に何も分からなくて、“こんなに仕事って分からないのか”と落ち込んだのを覚えています」(明石さん)

 彼女を苦しめたのは“鉄の知識”だけではない。営業という仕事のフローや相談相手の選び方、表計算シートの読み方が分からないなど、一般的な新入社員が経験するもののほかに、会社独自の略語を理解するまでに相当な時間がかかったそうだ。クライアントは“純粋な”日本企業で、関東圏内にある工場に日帰りで通うことになる。

 「『この案件はat riskでCRAは○○でBANTCは……』といった会話が飛び交う現場で、日本語であるはずなのに、意味が全く分かりませんでした。用語を逐一聞いたり、仕事の方法を覚えるのに必死になっているうちに1年が過ぎていました。お客さまは、代表的な“日本のモノづくり”企業という感じで、質実剛健な雰囲気です」(明石さん)

2つの巨大プロジェクトから学んだこと

photo 3年目の明石さんは突如メインフレーム増強のプロジェクトを進めることになった

 配属から1年がたち、ようやく仕事に慣れてきた彼女に転機が訪れる。人事異動の関係で、部署で一番大きなクライアントを担当することになった。周りの人も全員驚くような大抜てきだったが、一番驚いたのは当の本人だった。

 「最初のうちは、先輩から言われた通りに話すだけでしたが、自分が社内の関係者を巻き込んで案件を進めなければいけない立場だったこともあり、徐々に内容が分かるようになってきたんです。何よりお客さまが自分を見て話すようになってきたことがうれしくて、頑張ろうと思えました」(明石さん)

 担当になって3カ月、メインフレームの増強や生産計画システムの見直しなど、同時に2つの大プロジェクトが走り始めたことで、彼女の仕事は山場を迎えた。クライアントの要望に対して、社内で調整が付かず、案件の大きさから上層部からも進捗をチェックされる日々。「あのときは、もはや一体誰が味方なのか分かりませんでした」と当時を振り返る。

 上司や先輩の協力もあり、何とか2つのプロジェクトを成功させた明石さん。嵐のような日々から学んだのは、とにかく相手のニーズや課題を整理するのが大切だということ。プロジェクトが大きくなれば、関係者が増えて進め方が複雑になるうえ、クライアント自身が課題を整理できていないケースも出てくる。

 「入社したてのころは“同じような仕事を何年もやるのはどうなんだ”と思っていた部分もありましたが、上司や先輩を見て考えが変わりました。議論の中で課題を正確に切り分け、お客さまのニーズに対処するのは本当に難しいことだと痛感しました。逆にやることさえはっきりすれば、社内の知見を結集して提案を形にすることができるわけです」(明石さん)

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