企業の情報システムを手掛けるIT部門にとって、ITベンダーの営業はどのように映るだろうか。今回はいつもと逆の視点から、企業のIT導入について見ていこう。
企業の情シスにとって、ITベンダーの営業はどのように映るだろうか。自社のハードやソフトを押し売りする存在、最新の製品動向を教えてくれる存在、自分たちのニーズをぶつける存在――人それぞれだと思うが、ITが進化していくにつれ、営業に求められる役割も変わりつつある。
ハードウェアやソフトウェアがコモディティ化しつつある昨今、もはやシステムは「一から作る」時代ではない。人月単価の従来型SIビジネスは難しくなった。ビジネスチャンスの“ありか”も今までとは異なる。
「まずはクライアントの意見を整理して1つにすること。何をクリアすればいいのか、そのシンプルな答えを見つけることから始まります」
このように話すのは、IBMでアカウント営業を務める明石沙弓さん。鉄鋼業のクライアントを担当しており、入社3年目でBest of IBMを受賞するなど、輝かしい実績を持つ彼女だが、なんと「ITは苦手」だったという。
ITが苦手だったという明石さんが、なぜIT企業にいるのか。その答えは、高校生にまでさかのぼる。高校時代にイギリスにホームステイを経験してから海外に興味を持ち、大学では国際政治を学び1年間の留学も経験。そんな彼女がIBMに入社したのは2013年。興味があったのはITではなく海外で、留学や海外インターンを経験するうちに、グローバルで仕事がしたいと考えたという。
「コスタリカにボランティアに行ったときに、現地の人が皆日本のことを知っていたことに驚きました。彼らはソニーやトヨタといった、現地で展開する日本企業とその製品を知っていたんです。そして、その製品の品質の高さから日本人に対しても良い印象を持っていた。そんな日本発世界ナンバーワンの企業をもっと広げたいと思いました」(明石さん)
製造業に狙いを定めて就職活動を始めた明石さんだが、そこには思わぬ壁が待っていた。製造系の企業は海外よりも地方勤務が多いのだ。そこで東京に残りやすいIT系の企業も探し始めた明石さんが出会ったのが、担当クライアントの業種別で営業の採用を行っていたIBMだった。
内定した会社は複数あったが、確実に製造業に関われることや、グローバルかつ自由な雰囲気からIBMを選んだ。念願のグローバル企業に入ることができたが、配属後にその考えが覆されることになる。
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