IoTや人工知能の新規事業を「失敗」させる極意ITソリューション塾(2/2 ページ)

» 2016年09月16日 07時00分 公開
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 多くの事例に共通するのは、「IoTで何かをしよう」と考えたわけではなかったことです。人材の不足、競争の激化、環境変化の速さといった直面する課題を解決しようとしたとき、「今でき得る最善の手だては何か」を追求し、解決策を模索した結果、気が付けば「IoTだった」ということです。

 また、決して新しいことばかりを取り入れたわけではありません。既に社内に蓄積されていた技術要素やノウハウを新たな目線で組み立て直し、そこに新しい要素を付加することで、業界の常識を変えてしまったというケースもありました。

 ITベンダーやSI事業者は、工数を提供することや求められることに応えることだけでは、やがては自らの存在価値を失ってしまいます。ここに紹介したように、お客さまの抱える課題解決に取り組むために、テクノロジーの視点から「あるべき姿」を示すことができなければなりません。

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 「このやり方で、これだけの人材を提供して欲しい」に、「ならば、もっといい方法があります」と新しい常識で解決策を提示できてこそ、お客さまは存在意義を認めてくれるでしょう。

 もちろんそのようなことがいえるようになるためには、新しいテクノロジーについて知識や経験の蓄積が必要です。そのためには、試行錯誤を繰り返しながら学んでいくしかありません。幸いにも、新たなテクノロジーを試せる機会の多くはクラウドが提供してくれます。そして、そのコストも決して高いものではありません。「失敗のコストは掛からない」ということです。だからこそ、そんな失敗を積極的に許容し、試行錯誤を進めていくことが大切なのだと思います。

 新しいテクノロジーを「売り」にするとは、テクノロジーを売ることを目的とするのではなく、新しいテクノロジーをお客さまの課題解決の手段として使える力を備えておくということです。

向き合うべきはお客さまの課題である

 この原点を忘れないようにしたいものです。

著者プロフィル:斎藤昌義

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 日本IBMで営業として大手電気・電子製造業の顧客を担当。1995年に日本IBMを退職し、次代のITビジネス開発と人材育成を支援するネットコマースを設立。代表取締役に就任し、現在に至る。詳しいプロフィルはこちら。最新テクノロジーやビジネスの動向をまとめたプレゼンテーションデータをロイヤルティーフリーで提供する「ITビジネス・プレゼンテーション・ライブラリー/LiBRA」はこちら


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