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» 2016年11月17日 08時00分 UPDATE

もう迷わないシステム開発:「システム開発地図」の導入で現場はどう変わるのか 第2回 (1/4)

システム開発を進める上で強力なトレーサビリティーツールとなる「システム開発地図(System Development Map)」について解説。第2回目は、システム開発地図のコンセプトと、システム開発にどのように役立つのかを解説します。

[今田忠博, 近藤正裕,ITmedia]

はじめに

 前回は、「システム開発の現場においても、目的地(全体の方向性)と、迷う場所での道しるべを決めておき、事前に道順を確認しておくために地図が必要である」という考え方を紹介し、システム開発地図の概要をお見せしました(注1)

 地図上の成果物で使用されているモデリング手法や表記方法は、各作業でのベストプラクティスを踏まえて作成していますが、あくまで例示であることに注意してください。具体例により全体のトレーサビリティを把握することが重要であり、作業手順や表現手段はプロジェクトの性質や自社標準に合わせて交換可能と考えていただいて構いません。

 今回は、システム開発地図のコンセプトの詳細を解説し、システム開発にどのように役立つのかをお話ししたいと思います。

システム開発地図には何が示されているのか

 一般的に地図というものは、目的地にたどり着くための道しるべとなるものなので、出発地、現在地、目的地が分かり、それぞれのつながりが分かるようになっています。

 本当の地図には、地形や道路、建物などあらゆる情報が記載された一般図と、市街図、道路図、路線図など目的別に情報を絞って描かれる主題図があります。システム開発に関連することを何でも書き込んでしまうと、逆に必要な情報が分かりにくくなってしまいます。従って、システム開発地図は主題図です。

Photo

 システム開発のうち、プロジェクトの進捗や課題などの動的な情報は地図に向きません。本物の地図でも、ある時点の建物や道路などの静的な情報が記載され、道路の混雑状況や列車の運行状況のような動的な情報は記載されません(注2)

 システム開発地図に向いているのは、成果物の定義や作成方法、成果物のつながりや変換方法、作業の目的や手順などの静的な情報です(注3)。システム開発地図は、業務分析から出発して最終的なソースコードに至るまでのつながりが分かるようになっています。

 地図が特定の地域の具体情報を描くのと同様に、システム開発地図も特定の業務の具体的なシステム化の道のりを示しています。特定地域の地図を見ながら移動ができる人は、別の地域でも地図を見ながら移動ができます。特定業務で表されたシステム開発地図により、特定業務のシステム開発ができる人は他の業務のシステム開発もできるのです。

 静的な情報について、以下の観点で利用できるものをシステム開発地図として定義しています。

  • 地図を見れば現在地と目的地が分かる!
  • 全体を俯瞰したり、詳細に調べたりできる
  • 複数人で共通の認識として語り合える
  • 地図があって読み方を知っていれば、目的地にたどり着ける
  • ポイント、ポイントで、つながりが分かる

 また、この地図の出発地点は業務分析のフェーズとし、以下の範囲をサポートしています。

  • 業務分析フェーズ
  • 要件定義フェーズ
  • 設計
  • 実装

 システム開発地図では、以下のような項目は対象外です。

  • プロジェクトマネジメント
  • 実装テクニック

 システム開発地図では、成果物とその要素の関連を示すこと、全体を俯瞰することを目的とし、個々の作業の目的や手段、成果物の変換ルールを解説する手順書を別に用意しています。この手順書の内容も連載の中で紹介していきたいと思います。


注1: システム開発地図のPDFは、豆蔵のサイトからダウンロードできます。。

注2: 話はそれますが、地図情報に動的・静的を問わずさまざまな情報をマッピングして可視化するシステムはGIS(Geographic Information System)と呼ばれます。

注3: 厳密には、システム開発地図では時間の流れも織り込まれています。成果物はプロセスを経て次の成果物に変換されます。この変換には時間の経過が含まれるからです。

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