デジタルアーツが、標的型攻撃対策の新しいソリューションを発表した。9月19日から提供を開始する。
「標的型攻撃を、標的にする。」
新ソリューションのキャッチコピーをこんな風に紹介したのは、国産セキュリティソフトメーカーのデジタルアーツ 代表取締役社長 道具登志夫氏だ。「当社は1995年の創業以来、一貫して国内での製品企画・開発・販売・サポートを行ってきた。そしてWebフィルタリングソフトを核に、社内からの情報漏えい対策を提供して、他メーカーと一線を画してきた」と、これまでの取り組みを振り返る。
「しかし、標的型攻撃など外部からの攻撃に困っているお客さまが多く、誰も解決できていないのが現状だ。そういった事態を見逃す事はできず、競合各社が多い市場だが、当社も参入して課題解決に貢献していきたい」と語る。
5月8日に行われたデジタルアーツの発表会では、Webセキュリティ「i-FILTER」とメールセキュリティ「m-FILTER」の次期バージョンを連携させ、標的型攻撃対策における新しいソリューションを9月19日から販売するとアナウンスした。
新ソリューションの説明は、同社マーケティング部 i-FILTER課 遠藤宗正課長が行った。「ITセキュリティ対策は、サーバとクライアントを対象とした外部攻撃、そして内部漏えいがあるが、外部攻撃は結局のところ対象となるクライアントをいかにして守るかが重要だと再定義した」とし、「クライアント攻撃の手法はメールやWeb、USBメモリからの感染が考えられる。それらからどうやって守っていくのか。一番多いのがオフィス文書にマクロを埋め込むものだが、メールでの攻撃はm-FILTERの次期バージョン5で、Web経由での感染にはi-FILTERの次期バージョン10を提供する事で防いでいく」と述べる。
「セキュリティ製品はどうしても堅苦しいイメージがあるが、現状は不自由なメールとWebブラウザという環境になっている。この不自由さを解決して、自由を取り戻していく考えだ」(遠藤氏)
また、遠藤氏は「i-FILTERとm-FILTERを組み合わせた新ソリューションを導入することで低コスト化を実現しており、3000人程度の会社ならば40%のコストカット、2万人程度ならば80%も削減できる可能性がある」と話した。さらに「i-FILTERの次期バージョンでは、国内の安全なサイト情報を含めてデータベース化することで網羅率はほぼ100%を維持し、海外サイトの情報は別途有償オプションで提供する予定だ」と語る。
最後に道具社長は「新ソリューションの提供価格は今のところ決まっていないが、初年度の売上は10億円程度を目標にしていきたい。現状、多重防御でコストをかけるよりも、シンプルかつ低コストで提供するのが今回の主眼だ。発売日の9月19日はクイックと覚えやすく、当社は3月末決算なので上期となる9月に売上を立てたい」と冗談交じりに語りつつ、「2002年に上場(東証1部)したのが9月19日、そしてi-FILTERの次期バージョンは節目となる10にあたる。この発表を機に、新しい世界を目指して展開していきたい」と、今後の決意を述べた。
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