RPAを効果的に活用するには、ITILの観点から見る「キャパシティー管理」と「ITサービス業務継続性」が必要になります。RPAが止まったときを例に、2つのキーワードについて解説します。
この記事は中寛之氏のブログ「情報インフラ24時 眠らないシステム」より転載、編集しています。
前回に続き、RPA(Robotic Process Automation:ロボティクスプロセスオートメーション)について、ITIL(Information Technology Infrastructure Library:ITサービスマネジメントのフレームワーク)の視点から考えていきます。
最近、RPAという言葉は、日を追うにつれてますます見かけるようになり、「RPAはなんだかすごそうだ」というムードが高まっています。
「RPAを導入すればあらゆる業務で人の数を減らせる」と短絡的に考える人はさすがにいませんが、「定型業務にかかわる人数が減って確実にコスト削減できる」と思っている人は少なくないでしょう。事実、多くのRPAベンダーがコスト削減を前面に押し出していますし、Webで見かける先進事例もそれをうたっています。
Volvoでは経理業務でRPAを導入し、請求書の突き合わせ作業を自動化しました。これによって、同作業にかかわるヒューマンオペレーション量は75%も削減したとのことです。
他にも、次のような事例が発表されています。
RPAの効果が出やすい領域は、次の図の通りです。これに当てはまる業務は、ヒューマンオペレーションの比率を減らしやすいといえます。
※参考:EYアドバイザリー・アンド・コンサルティング『ロボティック・プロセス・オートメーション』、RPAテクノロジーズ『RPA導入事例』
しかし、「RPAを導入することで、コストが増えてしまった」と嘆く組織も実際にはあります。彼らがRPAの導入を決めた業務は、上述の条件に反していたわけではありません。ちゃんと定型化された業務を選んで自動化していましたし、例外データが大量であったわけでもありません。むしろ、作業発生回数は多く、1作業あたりの業務量も多かったといえます。
そんなRPAに適するはずの業務で、なぜ想定外のコスト増が生じてしまうのでしょうか。
ITILの観点で分析すると、実は「キャパシティー管理」と「ITサービス業務継続性」の2点が複合的に絡むことで問題になりやすいのです。
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