もし、持ち出したいならあの書類を書いて、稟議を出して、セキュリティ講習を受けて……なんて、やってられないぞ!
ノートPCの社外への持ち出し? もちろん、わが社は許可してますよ。なんせ、ITを活用した新たなワークスタイルを推進しているわが社ですから、ノートPCの持ち出しぐらい当たり前です。
え、持ち出したい? ああ、そうですか……ではまず、この誓約書にサインして提出してください。この稟議が通るまで1週間ぐらいかかりますから、その間にセキュリティ教育のeラーニングを受けてくださいね。URLはこちらです。それが終わったら、この申請書に記入してください。その上で上長と部長と事業部長のハンコをもらってください。えーと、あと、それから……。
「絶対持ち出させたくないやろ、それ!」
まあ……よくある話ですよね。社給PCの社外持ち出しには、どうしても情報漏えいのリスクがつきものですから、管理側が慎重になるのも無理からぬこと。実際のところ、いまだPCの持ち出しを禁止している企業も少なくないですし、たとえ持ち出しを許可していても極めて厳しい制限を設けているのが現状でしょう。
いつものように「いつまでもそんなこと言ってちゃダメ! 持ち出し許可すべし!」と堂々と言えればいいのだけど、現実問題としてノートPCの紛失や盗難による情報流出事故が相次いでる現状を鑑みると、規制したくなる側の気持ちも分からないでもないです……。
ただ、以前「HDD暗号化」の回でも書いたように、最近では万が一の紛失や盗難に備えて、遠隔からノートPC内のデータを消去できるようなソリューションもあるし、シンクライアント端末や仮想デスクトップ技術を使えば、そもそも端末上にデータを残さない運用も可能。昔と違って、今はある程度お金と手間を掛ければ比較的安全にPCを持ち出せる時代なので、あとは生産性向上の効果や費用対効果との兼ね合いをどう考えるか、になるでしょう。
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