被災地「以外」のSNS民が、被災地にデマを広げないために半径300メートルのIT(1/2 ページ)

2018年9月6日に発生した北海道胆振東部地震、甚大な被害をもたらした台風21号――災害発生時、SNSで流れるデマの被害を食い止め、有効な情報を手に入れるために、私たちが今から使える方法をご紹介します。

» 2018年09月11日 07時00分 公開
[宮田健ITmedia]

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 2018年9月6日、北海道厚真(あつま)町で震度7を記録した、胆振(いぶり)地方を震源とする「北海道胆振東部地震」が発生しました。北海道全域が停電し、想像を超える被害の大きさが即座に伝わってきました。被災された方々には、心からお見舞い申し上げます。

 直前には台風21号が各地に被害をもたらし、日本の各地に自然災害の爪痕が残りました。直接被害に遭った人もそうでない人も、さまざまなことを考えさせられる1週間だったのではないでしょうか。

ネットにおける情報収集のスタイルを変える

 2011年3月、東日本大震災が発生した当日も、まだTwitterは機能していました。各地から上がる写真やツイートから、東京の大混乱が把握できました。当時は、まだ公式RTがほとんど浸透していなかった時代。それでも、活発な情報交換が行われていたのを思い出します。

 しかし、現在はSNSの利用者が爆発的に増えたためか、情報の取捨選択がさらに難しくなったという印象があります。中にはインターネットを混乱させようとする投稿者もおり、あるいは意図的でなくとも不安がデマに変わって拡散する“悪意なき混乱”が発生するケースもありました。自然災害のたび、SNSで同じ事態が起こるのはとても残念です。

 無意識にデマを拡散してしまうのが人間というもの。こうした混乱を防ぐ目的で「デマを書くな」と呼び掛けてもあまり意味がないでしょう。そこで、災害の影響を受けていない人が今から実行できる対策を考えてみたいと思います。

情報源を整理する

 まずは、自然災害などによる「有事」に、情報収集のスタイルを切り替えられるよう、あらかじめ有事発生用のTwitterリストを作っておきましょう。そこには、電力会社、ガス会社、行政、信頼できるニュースソースなどのTwitterアカウントのみを入れておきます。有事の際には、ここ以外は見ないという運用に切り替えるべきです。

 今回の災害においても「〇月〇日に震度Nの地震が予測されている」「あとXX時間で電話がつながらなくなる」など、根拠のない投稿が見られました。そのような一般の投稿は止められないので、私たちが「あえて見ない」という対策を取る以外の方法はありません。

photo あらかじめ参照する情報ソースをきっちりと選んでおくことが重要です

 また、今回のような災害時には、GoogleやYahoo!をはじめ、多くのサイトが特別な体制で情報公開を行っています。被災ではぐれてしまった人を探す他、被災状況を現地から発信、記録できる「パーソンファインダー」などの存在を、災害が起こる前にあらかじめ家族や親戚に知らせておき、万が一のタイミングですぐに登録できるようにしておく方法も有効でしょう。

(参考)

 余談ですが、北海道電力が休止していたTwitterアカウントをこのタイミングで復活させ、情報を発信し始めたのは英断でした。Webサイトの場合、災害発生時は停電やアクセス集中でアクセスしにくくなりますが、Twitterならば円滑な情報発信が可能です。これも平時にアカウントを取得していたからこそできたこと。示唆に富む事例だと思います。

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