メモリ容量を最大8倍に拡張してくれるNVMe SSD Western Digital「Ultrastar Memory Extension Drive」発表Publickey(1/2 ページ)

仮想記憶の仕組みを用いて、メモリ容量を最大8倍にまで拡大できるSSDをWestern Digitalが発表しました。安価なNVMe SSDでも、高価なDRAMを何百GBも購入するのに近い性能を得られる、コストパフォーマンスの高さが最大の魅力です。

» 2018年11月16日 08時00分 公開
[新野淳一Publickey]

 この記事は、新野淳一氏のブログ「Publickey」の記事「メモリ容量を最大8倍に拡張してくれるNVMe SSD。Western Digital『Ultrastar Memory Extension Drive』発表」を許可を得た上で転載、編集しています。


 LinuxやWindowsなどのモダンなOSには、一般に「仮想記憶」と呼ばれる機能が備わっています。仮想記憶には、物理メモリに保持されている内容を、一時的にストレージへ待避させ、そこへ別の内容を書き込める仕組みがあります。この仕組みにより、OSは物理メモリの容量を超えて、メモリを割り当てることができるようになります。

 Western Digitalは2018年11月12日、この仮想記憶のような仕組みを用いてメモリ容量を最大8倍にまで拡大できる「Ultrastar DC ME200 Memory Extension Drive」(以下、Memory Drive)を発表しました。

photo Ultrastar DC ME200 Memory Extension Drive

 Memory Driveの物理的な構成は、NVMeインタフェースを備えた高速なSSDです。

 このNVMe SSDと独自のソフトウェアを組み合わせることで、Linuxアプリケーションに対して透過的に振る舞いつつ、あたかも搭載した物理メモリ以上の大容量メモリを備えているかのように動作し、RedisやMemcachedなど、インメモリ処理を行うアプリケーションなどのデータ容量が向上するとしています。

機械学習など、高度なアルゴリズムで先読み

 Memory Driveのソフトウェアは、機械学習など高度なアルゴリズムによって、事前に必要だと予想される内容をMemory Driveから読み出してDRAM上に配置。それが仮想的な大容量メモリを実現しているとのことです。

 以下の文は「In-Memory Computing at Scale? Look Beyond Physical DRAM」からの引用です。

Near-DRAM performance is achieved through the use of 20+ types of algorithms to predict, prefetch, and optimize memory and locality, as opposed to the typical single algorithm that is typically implemented in hardware(e.g., adjacent cacheline prefetch).

(DRAMに近い性能を獲得する手法として、予測、プリフェッチ(事前読み込み)、メモリ最適化、ローカリティーなど20種類以上のアルゴリズムを用いており、これは、従来ハードウェアなどで典型的に実装されてきた単一アルゴリズムと異なるものだ)

It uses machine learning, pattern recognition, code scanning, and other techniques, which allows the Ultrastar DC ME200 to massively prefetch addresses that the CPU will be using thousands of cycles ahead, so by the time the CPU needs those addresses, they already are waiting in DRAM.

(このアルゴリズムは、機械学習やパターン認識、コードスキャニング、その他のテクニックを採用しており、CPUが数千サイクル先に使うであろうアドレスをUltrastar DC 2000が大量にプリフェッチできるようにしている。そのおかげで、CPUがその内容を必要になったときには、既にそのアドレスはDRAM上でアクセスされるのを待っているのだ)

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