2月2日に社名をウィルコムに変更するDDIポケット(10月14日の記事参照)。サービスブランド「エアエッジ」のロゴも変更し、社長にも、日本テレコムからDDIポケットに転身した八剱洋一郎氏を迎えた(12月10日の記事参照)。
DDIポケットがウィルコム新体制で実現しようとしているビジョンはどんなものなのか。
「ウィルコムとして法人ビジネスを積極的に推進していきたい。法人は、要素を買ってきて組み立てる時代から、サービスごと買っていく傾向にある」
1月18日の社長就任会見で、八剱氏はモバイル機器を使ったビジネスソリューションを強化していく方針を打ち出した。日本IBMやAT&T、日本テレコムなどを経てきた八剱氏にとって、ソリューションビジネスは手慣れたところ。
ウィルコムの事業戦略 |
1 データ通信の高速化 |
2 音声事業の拡大 |
3 R&D |
4 ビジネスパートナーの拡大 |
5 サービスビジネスへのシフト |
6 プラチナ世代への提言 |
これまでもエアエッジを使う法人ユーザーは多かったが、「ほとんどサービスには手がついていない」と八剱氏。導入先の企業が自社で研究し、ニーズに最も適した通信端末としてエアエッジを選択した──というのが現状だったと話す。DDIポケットの営業マンがエアエッジのメリットをしっかり伝え、サービス込みで提案できるようにすることで、まだまだ市場は広がると見る。
「PHSをより使いやすく使ってもらうための、サービスを含めて売っていきたい」(八剱氏)
法人向けソリューションビジネスの売り上げやシェア目標などは明かされなかった。体制については「(パートナーと組むにしても)責任の所在が不明確な体制はよくない」とした。
現DDIポケット会長の木下龍一氏も、「コンシューマー市場は9000万ユーザーを超え、かなりサチュレート(飽和)してきた。ただしビジネスマーケットには、まだまだ発展させる余地がある」と話す。副会長となった山下孟男前社長と共に「トロイカ体制でやっていきたい」とした。
法人向けソリューションビジネスと合わせて、八剱氏が力を入れたいとしたのがプラチナ世代(中高年)向け端末だ。
特にアピールしたのは、PHSはいわゆる携帯電話に比べてSAR値(人体に吸収される電磁波の値)が圧倒的に小さいこと。「英国では8歳未満の携帯利用を制限したほうがいいという議論があるようだ」(八剱氏)と、PHSの“安心感”を強調した。
併せて音声サービスでは、定額制を視野に入れて検討を進めていることを明言した。
「ウィルコムは(ユーザーの)コストを下げるのが使命。音声とデータを組み合わせて25時間とか、音声の定額コースを作ったらどうなるか──などを検討している。機能的も価格的にも視野に入ってきた。それほど驚く価格にはならないだろう」(八剱氏)
法人向けサービスでは同一契約内の音声定額制サービスもあるが、コンシューマーに向けて音声定額プランを打ち出したのはDDIポケットが初めて。ただし定額通話が可能なのは、「ウィルコム同士、あるいはパートナーシップを組める固定系事業者の電話」(経営企画部長の喜久川政樹氏)となる見込みだ。
「PHSという“簡易型”のイメージを変えるのがどれくらい難しいか……」
今後の最大のチャレンジは何か? と問われて、八剱氏はこう答えた。いわゆる“PHS”から“ハイブリッド携帯H"”というブランド名で、安かろう悪かろうというイメージからの脱却を図ったDDIポケット。モバイル定額制を先駆けて導入するなど、現ユーザーには高い評価を得るに至った。しかし、現在携帯電話を使っている一般ユーザーのイメージは、まだかんばしいものではない。
PHSという技術の優位性を改めて打ち出し、携帯電話と真っ向から争うことを明らかにしたDDIポケット。「(PHSは)独自技術を使った将来が面白い業界」と評する、八剱氏の手腕に注目したい。
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