英Sony Ericssonのマイルス・フリントCEOが2月14日、ユーザーインタフェースベンダーのUIQ Technologyを買収した狙いと今後の戦略について話した。
フリント氏はUIQ買収の理由を「オープンOSが重要であるため」と説明する。Sony Ericssonは、ユーザーインタフェースや端末を通じたユーザー体験などの面で他社との差別化を図ってきた。オープンOSならサードパーティのアプリケーションを容易に組み合わせられ、カスタマイズのニーズにも応えられる。モバイルインターネットの時代に向け、チャンスをもたらすものであるという考えだ。
同社が以前から採用してきたUIQは、英Symbianの完全子会社で社員数は約200人。ユニークな技術を持ちながら、投資不足からマイグレーションやサポートなどの面で問題があったという。UIQの競争力を維持するためには投資が必要であり、一方でSony Ericsson自身はスマートフォン事業を拡大させるにあたってUI開発に投資する用意があったことから買収を決めたという。
UIQのヨハン・サンドバーグCEOは、UIQの特徴として柔軟性を挙げる。1つのコードベースでさまざまなフォームファクターに対応できるのに加え、タッチスクリーン/非タッチスクリーン/タッチスクリーンと非タッチスクリーンの組み合わせに対応するなど開発効率がよいというメリットがある。また出荷前の設定も可能で、端末ベンダーは通信オペレータのニーズに柔軟に応じられるという。
現在、UIQはSony Ericsson、米Motorola、台湾BenQの3社のライセンシーを持ち、UIQを搭載した端末はSony Ericssonの「P910」など13機種がリリースされた。最新のSymbian/UIQ端末は、Motorolaの「MOTORIZR Z8」。タッチスクリーン機能を搭載するUIQ端末が多い中、MOTORIZRはタッチスクリーン機能を備えていない。
今後のUIQの運営についてSony Ericssonは「独立性を保つ」と強調し、そのためにもフェアなライセンスモデルを確立すると明言。ライセンス価格を一律同じにし、収益をライセンシーと公平に分割するメカニズムも作る考えだ。さらにはSony Ericssonが100%所有するのは好ましくないと考え、ほかの端末メーカーにも参加を呼びかけているという。また、チップベンダーも限定しない。
ガバナンスについて説明したSony Ericssonの戦略担当トップのパー・アスペマー氏は、「(複数の端末メーカーが共同株主となっている)Symbianを習う」と説明している。Sony Ericssonは、Ericssonが合弁会社立ち上げ前の1998年にSymbianの立ち上げに参加した経緯があり、現在はSony Ericssonとして経営に参加している。
Sony EricssonによるUIQの買収で、“(NokiaのUI技術である)S60を目指すのか”という声が上がっていることについてフリント氏は「2つ目のプロプライエタリ・プラットフォームを作るつもりはない」と述べ、独立性を維持することを強調した。
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