デモのポイントはいくつかある。1つは、電子マネーのチャージやチケットを使って入場するときに、PCにつないで使う汎用FeliCaリーダー/ライター「PaSoRi」を使ってオンラインで行うということだ。
当初、FeliCaは交通ICチケットとして使うことを想定して開発されたという経緯もあり(2005年10月の記事参照)、“オフラインで高速にデータをやりとりする”という特徴を持っている。例えば店舗の専用端末を使っておサイフケータイやFeliCaカードのプリペイド型電子マネーで支払いをするときには、リーダー/ライターはオフラインで動作しており、決済の瞬間には原則としてサーバとの通信が発生しない。リーダー/ライターそのものにセキュリティのシステムを持っているために、安全にデータのやりとりができる仕組みだ。オフラインで高速に処理ができる代わりに、リーダー/ライターは専用のものが必要になる。
しかしI-CASを使ったデモでは、電子マネーのチャージやチケットを使うときに、端末とI-CASの間はオンラインでやりとりを行う。本来専用リーダー/ライターがオフラインで行う処理を、サーバがオンラインで行うのだが、このときかかる時間は2秒弱。高価なリーダー/ライターを導入しなくても、PC+PaSoRiでサービスを行えるため、店舗のコスト負担を軽くできる点がメリットとなる。
2つ目のポイントは、複数の決済方式への対応が容易ということだ。上記のようにリーダー/ライターそのものがおサイフケータイ/カードとのやりとりを行い、セキュリティのシステムを持っていなくてはならないという仕組みでは、決済方式ごとに専用端末が必要だった。最近は複数の決済方式に対応した端末も出てきているが、通常、多くの方式に対応している端末は単機能端末よりも高価になる。I-CASの場合、データ処理をサーバ側が行っているので、専用リーダー/ライターを増やさなくても、サーバ側が機能追加を行うことにより、複数の決済方式に対応できる。
HPではI-CASそのものを販売するだけでなく、ASPとしての提供も検討中。決済センターと組むことによって、複数の決済方式に対応したサービスを、一般事業者や店舗に向けて安価に提供することを考えているという。
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