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» 2004年01月08日 00時00分 UPDATE

情報システム用語事典:コアコンピタンス(こあこんぴたんす)

core competence / コア・コンピタンス / コアコンピュタンス

[@IT情報マネジメント編集部,@IT]

 顧客に対して価値提供する企業内部の一連のスキルや技術の中で、他社がまねできない、その企業ならではの力のこと。競合他社に対しては、経営戦略上の根源的競争力につながるものであり、他社との提携などの際に相手に与える影響力や業界イニシアティブの強弱のキーともなる。

 提唱者のゲイリー・ハメル(Gary Hamel)とC・K・プラハラード(Coimbatore K.Prahalad)は、Harvard Business Reviewに掲載した論文「The Core Competence of the Corporation」(1990年)で、「コアコンピタンスは組織内における集団的学習であり、特に種々の生産技術を調整する方法、そして複数の技術的な流れを統合するもの」と定義した。

 続いてハメルとプラハラードは、1994年に『Competing for the Future』を出版し、広く世界にこの言葉が知られるようになった。同書ではコアコンピタンスと企業力や個別スキルとの違いをフェデラル・エクスプレスの場合で示して、「物流(メタ企業力)−パッケージの所在追跡(コアコンピタンス)−バーコード技術(構成スキル)」と説明している。そのほかのコアコンピタンスの例として、ホンダのエンジン技術、ソニーの小型化技術、シャープの薄型ディスプレイ技術などを挙げている。

 ここで「技術」といっているが、コアコンピタンスは具体的なテクノロジや特定の製品やサービスの上位に置かれる概念で、製品・サービス、技術、資産、インフラストラクチャ、ビジネスユニットなどに代わる経営資源のとらえ方の1つといえる。同書でも「コアコンピタンスは一見かけ離れたように見える事業の集まりをつなぎ合わせる結合材である。コアコンピタンスは、管理職がある事業から得られる洞察力や経験を、他の事業にも展開できるようにする共通語である」と述べ、長期的な視点で戦略策定や分析を行う場合、製品やサービス、ビジネスユニットを単位で考えるよりも適しているとされる。

 一般に、コアコンピタンスに経営資源を集中し、不得意分野について外部資源を活用(アウトソーシング)する経営戦略を「コアコンピタンス戦略」というが、ハメルとプラハラードは前掲書において、「コアビジネスに固執していると、自社のビジネスチャンスの範囲を狭め、新しい競争の場を作る可能性を自ら閉じてしまうことになる」として、非戦略的な“選択と集中”や利益至上主義に基づく“リストラクチャリング”に否定的で、「コアコンピタンスを基盤に多角化を進めるとリスクは小さくなるし、投資も減り、優れた実践例を事業部間で動かす機会も増える」と述べている。

 ただし、経営や組織にとってコンピタンスが支配的になりすぎた場合、イノベーションが阻害されるコアリジディティ(硬直性)のリスクがあると指摘される。また、知恵や先端技術がオープンに流通するようになった21世紀のビジネス環境において競争力やイノベーションを向上するには独自のコアコンピタンスを磨く以外に、外部知識をコーディネートする組織的能力が重要だともいわれている。

参考文献

▼『コア・コンピタンス経営――大競争時代を勝ち抜く戦略』 ゲリー・ハメル、C・K・プラハラード=著/一条和生=訳/日本経済新聞社/1995年3月(『Competing For The Future』の邦訳)

▼『イノベーションの経営学――技術・市場・組織の統合的マネジメント』 ジョー・ティッド、ジョン・ベサント、キース・パビット=著/後藤晃、鈴木潤=監訳/NTT出版/2004年10月(『Managing Innovation: Integrating Technological, Market, and Organizational Change, 2nd Edition 』の邦訳)


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