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» 2004年04月11日 00時00分 UPDATE

情報マネジメント用語辞典:ITIL(あいてぃーあいえる)

Information Technology Infrastructure Library / アイティアイエル / アイティル / ITインフラストラクチャ・ライブラリ

[@IT情報マネジメント編集部,@IT]

 英国商務局(OGC : Office of Government Commerce)が、ITサービス管理・運用規則に関するベストプラクティスを調和的かつ包括的にまとめた一連のガイドブックのこと。ITサービス管理を実行する上での業務プロセスと手法を体系的に標準化したもので、ITに関する社内規則や手順などの設定・見直しを行う際のガイドラインとして活用される。

 ITIL v3は5つの書籍(コア書籍)、および入門書・ガイドラインといった補助書籍、そしてWebサポートからなっている。コア書籍は以下のとおり(かっこ内は、含まれるプロセスと機能)。

  1. サービスストラテジ(戦略策定、財務管理、サービスポートフォリオ管理、重要管理)
  2. サービスデザイン(サービスカタログ管理、サービスレベル管理、キャパシティ管理、可用性管理、ITサービス継続性管理、情報セキュリティ管理、サプライヤ管理)
  3. サービストランジション(変更管理、サービス資産および構成管理、ナレッジ管理、移行の計画立案とサポート、リリース管理および展開管理、サービスの妥当性確認およびテスト、評価)
  4. サービスオペレーション(イベント管理、インシデント管理、要求実現、問題管理、アクセス管理、サービスデスク、技術管理、IT運用管理、アプリケーション管理)
  5. 継続的サービス改善(7段階の改善プロセス、サービス報告、サービス測定、サービスレベル管理

 この5冊は、順次発刊されたためにやや不整合のあったITIL v2をサービスマネジメント・ライフサイクルの視点で再構成したもの。v3で加えられた新たなプロセス・機能もあるが、プロセスの内容自体に大きな変更はない。運用という面では、ビジネス要件から「サービスストラテジ」で戦略・企画を制定し、「サービスデザイン」でサービスを設計・開発し、「サービストランジション」で変更・リリースを行い、「サービスオペレーション」で実行・測定する。そして「継続的サービス改善」を通じてフィードバックを行い、品質を高めていくという流れになる。サービスマネジメントという面では「継続的サービス改善」がほかの4冊(に含まれるサービスと機能)に働き掛け、継続的改善を行うという構造になっている。

 なお、ITIL v2は最終的に、以下の7冊構成になっていた。

  1. サービスサポート(通称:青本)
  2. サービスデリバリ(通称:赤本)
  3. セキュリティ管理
  4. ビジネスの観点 サービス提供におけるISからの視点
  5. ICTインフラストラクチャ管理
  6. アプリケーション管理
  7. サービスマネジメント導入計画立案(通称:緑本)

 このうち、中核になるのが、「サービスサポート」と「サービスデリバリ」である。「サービスサポート」は日常的なシステム運用およびユーザーサポートに関して記したもので、1つの機能と5つのプロセスからなる。機能としては、ユーザーからの問い合わせ窓口となる「サービスデスク」、プロセスとしては「インシデント管理」「問題管理」「変更管理」「リリース管理」「構成管理」が規定されていた。

 「サービスデリバリ」は中長期におけるシステム運用管理に関する計画と改善についてまとめたもので、5つのプロセスで構成される。上位に「サービスレベル管理」があり、ここで策定したサービスレベルを達成するために、「可用性管理」「キャパシティ管理」「ITサービス財務管理」「ITサービス継続性管理」の4つのプロセスが置かれていた。

 ITILはこのような実務上のプロセスを定義したもので、その上位には管理ガイドとしてPD 0005実務基準があり、さらにその上位に英国規格の「BS 15000 - IT Service Maganement」がある。BS 15000は2005年12月にISO/IEC 20000として国際規格化されている。ITILは、ISOやBSなどをクリアするためのプロセスを示したものであり、いわゆる標準や規格とは異なる。

 ITILはもともと、英国政府官公庁の情報システム管理基準として作られたもので、1989年に英国中央コンピュータ・電気通信局(CCTA:Cental Computer and Telecommunication Agency)によって初版が公表された。CCTAは2000年に設立されたOGCに統合され、現在はOGCがITILを所有している。

 ITIL著作物は国家著作権(crown copyright)が設定され、許可なしのコピーや出版、改変はできないが、ITILの内容を自社のサービスに適用することに関しての制限はない。ITIL著作物を販売するのはOGCから分割民営化した公共刊行物出版(TSO:The Stationery Office)である。

 ITILは当初から一般企業での活用が奨励されており、1991年にはITIL振興のための非営利団体itSMF(IT Service Management Forum)が設立され、順次世界各国で支部が設立されている。

 1990年からはITILベースの認定試験開発が始まり、現在のところOGCが資格試験実施機関として認定したEXIN(Examination Institute for Information Science)、ISEB(Information Systems Examinations Board)、Loyalist College of Applied Arts and Technologyの3つの非営利団体が公式認定試験を実施している。トレーニングに関しては試験機関から信任された資格試験教育事業者が行っている。

 ITIL日本語版書籍に関しては、itSMF Japanが扱っている。

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