「プロジェクト管理」を管理するためにThe Rational Edge (25)(2/5 ページ)

» 2004年06月25日 12時00分 公開
[Michael F. Hanford(IBM),@IT]

◇ プログラム・マネジメント

 「プログラム・マネジメントとは何か? 果たして本当のマネジメントといえるのか?」

 これらの質問に答えるため、まずはプロジェクト・マネジメントの一般定義を考察する。

 「プロジェクト・マネジメントとは、比較的短期間の目的に向けた会社資源の立案、整理、指揮、規制を指す。[注1]」

[注1] Deborah Kezsbom,et al.,Dynamic Project Management John Wiley & Sons,1989年刊

 この定義から明らかなように、プロジェクト・マネジメントは、個人の作業と製品投入のスケジュールの両方に関する時間と、資金の調達および消費に関するコストとともに、(人的および技術的)資源の動的な割り当て、利用、方向付けが関係する。当然の結果として、プロジェクト・マネジメントの方向付けがないと作業は一連の交渉を進めながら進行せざるを得ず、目標、価値提案、あるいは企業のニーズに沿ったものにならない。

 プログラムの範囲内では、管理階層の3つのレベルの人々に同じ責任(割り当て、利用、方向付け)が課され、レベルが高ければ高いほど、その責任は全般に及ぶようになる。例えば、管理階層の最下部では、プログラム全体からさまざまなプロジェクトがプロジェクトマネージャに与えられる。各マネージャは、前述の管理責任を遂行する。

 中間層には、指定された結果を業務およびIT戦略の中で確実に導き出すことを最大の責務とするプログラムマネージャ/ディレクター[注2]がいる。その業務には、目的の設定と検討、複数のプロジェクトをまたぐ作業のコーディネート、そして暫定的な作業成果物と結果の統合および再利用の管理が含まれる。責任者は前述のほかのプロジェクト管理業務(資源の割り当て、スケジュールの順守徹底、予算など)よりも多くの時間と労力を統合作業、計画の変更に関する交渉、そしてコミュニケーションに費やす。

[注2]
英国では、英国政府調達庁(OGC)が『Managing Successful Programmes』という出版物の中で、この役職を上級主催責任者(SRO)と呼んでおり、これは「プログラムの納入とインプリメンテーションで全体的な方向性とリーダーシップを提供し、その結果に対して個人的に責任を負う」役職だと説明している。

プログラムマネージャ/ディレクターの責務

  • スケジュール、予算、すべてのプログラム要素の品質を主催責任者に直接報告する
  • プログラムの計画とスケジュール立案で上級幹部を主導する
  • プロジェクト計画がプログラム戦略やプログラム計画、そしてスケジュールと適合するか審査/承認する
  • 主催責任者とプログラム運営委員会とのコミュニケーションのパイプ役を果たし、説明会/状況報告会を定期的に開催する
  • 必要に応じて主催責任者に判断を仰ぐ


 プログラム・マネジメント階層の最上部に位置するのが「プログラムの主催者(スポンサー)」と「プログラム運営委員会」だ。プログラムの基盤となる業務とIT戦略の導入を完全に把握し、監督することと、企業全体のビジネスプランや方向性とプログラムとの関連を定義することを最大の義務とする。彼らの管理業務には、ポリシーの準備と説明、プログラムに対する士気を継続的に促進する環境の整備(企業内外にある障害の排除など)、そして全体の戦略的ビジョンとの整合性を確認するためのプログラム進ちょく状況や暫定結果の定期審査などがある。

 これらの人々は、概略報告を定期的に受け取り、資金の使用、資源とその利用率、そして暫定作業成果物と結果に関する説明を受ける。通常、これらのレポートを重視するのは計画との間に大幅なずれが生じた場合のみとなる。

 ここで、本セクションの冒頭に記した質問に話題を戻そう。プログラム・マネジメントとは何か? 果たして本当のマネジメントといえるのか?

 管理業務をプロジェクト・マネジメントで定義したように厳密に考えると、2番目の質問に対する答えは「ノー」、あるいは場合によっては「ある程度」となる。プロジェクトレベルでは、これらの業務は依然としてマネージャが遂行しているが、プログラムマネージャ/ディレクターは、それぞれが異なるプログラムの目標やニーズに取り組んでおり、これには「あらゆる手段」や、現状の把握と今後の課題に対する異なる見方が必要になる。そして、最上層部で目標を設定し、プログラムを管理する幹部リーダーは、プロジェクトマネージャのような細かい作業は絶対に行わない。

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