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» 2004年08月13日 00時00分 UPDATE

情報システム用語事典:戦略(せんりゃく)

strategy / ストラテジー

[@IT情報マネジメント編集部,@IT]

 一般に、企業などの組織が経営・事業運営に関して行うハイレベルの計画や意思決定のこと。達成すべき目標やビジョンに基づいて、状況や環境に応じて大局的観点から基本方針や執行計画を立案したり、実行の優先順位を定める。人為的・明示的に計画されたものとしてではなく、その組織が示す一貫した行動パターン、外的な環境変化に対応する組織的能力や企業文化を形成・確立することを含めていう場合もある。

 カナダ出身の経営学者 ヘンリー・ミンツバーグ(Henry Mintzberg)らの著書、『Strategy Safari』(1998年)によれば、経営学周辺の学問分野としての「戦略マネジメント」は10の学派(スクール)に分けられ、その中で戦略はさまざまに定義されているという。

 伝統的な学派では、戦略とは企業の方向性や進路を示す方針や指針であり、“意図されたプラン”をいうが、一方で「ハイエンド戦略」「ハイリスク戦略」というように事前の計画よりも、“実現されたパターン”を戦略と見なす立場がある。また、市場における製品の位置付けである“ポジション”、企業理念などを示す“パースペクティブ”、計略や策略である“プロイ”も戦略と見なされる場合がある(戦略の5つのP)。

 なお、同書の筆者は「戦略は計画的に策定される、と同時に創発的に形成されなければならない」とし、視野の広い企業戦略への取り組みを提唱している。

 戦略という言葉は、“戦術”と混同されることが少なくないが、本来は区別される。戦略も戦術も軍事分野からの借用語だが、軍事用語でいう“戦略”は戦争が起きる前の段階の政治的な駆け引きを含み(政略と合わせて“政戦略”ともいう)、「軍備をどのように整備するか」「戦争に訴えるか、ほかの政治的手段を利用するか」「第3国と同盟を結ぶか結ばないか」「いつ、どこで戦端を開くか」などが含まれる。「戦略兵器」「戦術兵器」とような使い分けは、前者が「戦争全体を決し得る核兵器」、後者は「局地的な戦場レベルでの使用に留まる兵器」ぐらいの意味である。これを援用して、全社レベルの大局的意思決定や案件などを戦略的、現場レベルの局所的な対象を戦術的と表現することが多い。

 また、ゲーム理論においては、利害が異なるさまざまなプレーヤー(人、企業など)の行動と思惑が交錯し、相互の利害に影響を与え合う環境を戦略的環境と呼び、その中で採り得る行動・意思決定の選択肢を“戦略”という。

参考文献

▼『戦略サファリ――戦略マネジメント・ガイドブック』 ヘンリー・ミンツバーグ、ブルース・アルストランド、ジョセフ・ランペル=著/斎藤嘉則=監訳/木村充、奥沢朋美、山口あけも=訳/東洋経済新報社/1999年10月(『Strategy Safari: A Guided Tour Through the Wilds of Strategic Management』の邦訳)

▼『戦略的思考の技術』 梶井厚志=著/中央公論新社・中公新書/2002年9月

▼『ゲームの理論入門――チェスから核戦略まで』 モートン・D・デービス=著/桐谷維、森克美=訳/講談社・ブルーバックス/1973年1月(『Game Theory: A Nontechnical Introduction』の邦訳)


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