キャッシュフロー計算書(きゃっしゅふろーけいさんしょ)情報システム用語事典

cash flow statement / CFS

» 2005年03月06日 00時00分 公開
[@IT情報マネジメント編集部,@IT]

 財務諸表の1つで、企業・事業体などのある一定期間(会計期間)における現金ベース(現金および現金同等物)の増減と残高を示して、その期間における資金の流れを表した計算書。企業のキャッシュフローの構造を示す。

 連結キャッシュフロー計算書・中間連結キャッシュフロー計算書、個別ベースのキャッシュフロー計算書・中間キャッシュフロー計算書がある。

 キャッシュフロー計算書におけるキャッシュ(cash)とは、現金および現金同等物のことを指す。現金とは手許現金および要求払預金であり、現金同等物とは取得日から3カ月以内に満期日または償還日が到来する短期的な投資のことをいい、短期の定期預金、公社債投資などが含まれ、変動リスクのある株式などは含まれない。

 貸借対照表損益計算書に続く第3の財務諸表に位置付けられ、日本でも2000年3月期からは株式公開企業では有価証券報告書にキャッシュフロー計算書を記載することが義務付けられている。

 従来の貸借対照表と損益計算書は発生主義の考え方に基づき作成される財務諸表だが、キャッシュフロー計算書は現金主義の考え方に基づく。現金の支払い/回収にかかわる数値を計上していき、最終値はキャッシュ残高を示すものとなる。

 日本の制度では、「営業活動によるキャッシュフロー」「投資活動によるキャッシュフロー」「財務活動によるキャッシュフロー」の3つに区分して表示される。

 営業活動によるキャッシュフローは、その企業が行っている営業活動(本業)による収支の流れを示す。投資活動によるキャッシュフローは、設備投資や他社への投資など、投資活動による収支の流れを示す。財務活動によるキャッシュフローは、営業・投資の両活動を維持するために必要とする資金の調達・返済の流れを示す。

 基本的に、この3区分のキャッシュフローの合計が企業の一事業年度の現金および現金同等物の増減額であり、これに現金および現金同等物の期首残高を加えた金額がその期末残高となる。

 キャッシュフロー計算書(営業活動によるキャッシュフロー)の作成方法には、直接法と間接法がある。直接法は資金繰り表のように仕訳帳から現金と現金同等物にかかわる仕訳のみを取り出す方法で、収入と支出の総額の差額によって算出する。間接法は、損益計算書の「利益」をベースにいくつかの項目を調整して算出する。

 直接法にはキャッシュフローの構造が理解しやすく、収支の源泉が明らかになるというメリットがあり、間接法には損益計算書上の利益との関連が把握しやすく、また作成が比較的容易であるというメリットがある。

 どちらの方法を選択するかは、日本および国際会計基準においては選択制だが、それぞれで開示内容が異なるため、選択によってはステークホルダーが求める数値が表示されないことがある。

 キャッシュフロー計算書は、その企業のキャッシュフローの創出能力と支払い能力、そして資金効率(投資/リターンの関係)を示すものだといえる。

参考文献

▼『キャッシュフロー計算書――その国際的調和化の現状と課題』 杉本典之、洪慈乙=著/東京経済情報出版/1995年4月

▼『キャッシュ・フロー計算書の再構築――国際会計基準への対応』 豊岡隆編=著/同文舘出版/2005年3月

▼『キャッシュフロー計算書のつくり方――これ1冊でできるわかる』 金児昭=監修/轟茂道=著/あさ出版/2006年6月


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