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» 2006年02月09日 00時00分 UPDATE

情報システム用語事典:ノンテリトリアル・オフィス(のんてりとりある・おふぃす)

non-territorial office

[@IT情報マネジメント編集部,@IT]

 オフィス内のデスクや設備、スペースを個人ごとに割り当てず、複数の従業員/ワーカーの共同使用とする形態のオフィスのこと。一般に、すべてのワーカーが自由に使えるスペースのほかに、部門やチーム別ないしは用途別にスペースや設備を割り当てる場合が多い。

 もともとは米国マサチューセッツ工科大学(MIT)のトーマス・J・アレン(Thomas J. Allen)とペーター・G・ガーストバーガー(Peter G. Gerstberger)が1970年代に提唱したオフィスコンセプトで、組織内のコミュニケーションや情報共有を促進するために部門や職種ごとに部屋やエリアを割り当てない方法のオフィス形態をいう。

 具現化されたのは1990年代に入ってからで、米国の中堅広告代理店シャイアット/デイ(現TBWA/シャイアット/デイ)が1994年に新設したオフィスの事例が有名である。同社はアップルコンピュータの広告などで知られるクリエイティブ・ブティックで、創造性豊かな作品を生み出すためにコラボレーションを重視、クライアント(広告主)ごとに編成の変わるチームによるコラボレーションの活性化を目的に、共有スペースの多いワークプレイスを試みた。

 個人用の大型ロッカーとメールボックスは社員の人数分用意してあるが、座席数は社員数の4分の1程度で、社員がセンターオフィスに来るのは密接なコミュニケーションやアイデアの共有が必要となったときだけ。テレワークとの組み合わせによって、必ずしも出社しなくてもよいフレックスワーク環境を目指した。

 こうしたワークスタイルは、当時のビジネス誌やビジネスカンファレンスなどで大きく取り上げられ、世界中に広がっていった。以後、“仕事に応じて機動的にワークプレイスを移動/変更する”というコンセプトは、利用を希望する席・設備を予約するホテリング、汎用自席の代わりに特定機能に特化した席・設備を共有施設として用意してそれを使い分けるアクティビティ・セッティングなどのバリエーションを生み出している。

 一方、日本ではオフィスで個人の座席を固定的にアサインしないフリーアドレス・オフィスが登場するが、これを含めて固定席のないオフィス環境の総称として使われることもある。

参考文献

▼『A field experiment to improve communications in a product engineering department: the non-territorial office』 Thomas J. Allen、Peter G. Gerstberger=著/the Human Factors and Ergonomics Society - "Human Factors" Vol.15, No.5, pp. 487-498/1973年A field experiment to improve communications in a product engineering department: the non-territorial office』 Thomas J. Allen、Peter G. Gerstberger=著/the Human Factors and Ergonomics Society - "Human Factors" Vol.15, No.5, pp. 487-498/1973年

▼『“技術の流れ”管理法――研究開発のコミュニケーション』 トーマス・J・アレン=著/中村信夫=訳/開発社/1984年1月(『Managing the Flow of Technology: Technology Transfer and the Dissemination of Technological Information Within the R&D Organization』の邦訳)

▼『知的創造の現場――プロジェクトハウスが組織と人を変革する』 トーマス・J・アレン、グンター・W・ヘン=著/糀谷利雄=監修/冨樫経廣=訳/ダイヤモンド社/2008年3月(『The Organization and Architecture of Innovation: Managing the Flow of Technology』の邦訳)


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