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» 2006年07月19日 12時00分 UPDATE

プロジェクトの成功に本当に必要なもの(1):優秀なプロマネはメンタルな働きかけもうまい (1/2)

PMBOKやCMMIなどには書かれていないけれど、「実はこれこそがプロジェクト成功の根底に必要なものだ」というポイントがあります。それは私自身がプロジェクトで実践し、コンサルティングの場でも効果を発揮してきた手法や考え方でもあります。

[今村智,@IT]

開発技術、管理技術以外の大切な何か

 誤解のないようにいっておきますと、PMBOKやCMMIに対する知識や、それらに対する活動に効果がないということでは決してありません。それどころか先人の英知を引き継ぎ、それを実践することはとても意味のあることです。一方で、これらに代表されるような“マネジメント技術”だけを頑張っても、成功は簡単ではなく、心が疲弊してしまう人が減ることもないと考えています。開発技術にしても同様です。開発手法や開発ツールが日々進歩しているにもかかわらず、相変わらず過酷な状況が続いているということは珍しくありません。あなたにも心当たりがあるのではないでしょうか?

 そんなあなたや、あなたの周りの人を見回したとき、みんなが明るくハツラツとしていたらうれしいですね。そうすることは簡単ではないと思いますか?

 必要なのは、ほんの少しの工夫です。それは“楽しむ”ための仕掛け、気配りともいえるものです。誤解しないでいただきたいのは、プロジェクトルームを幼稚園のようにおもちゃであふれさせようといっているのではないのです(それも悪くはないですが)。そうではなく、プロジェクトメンバーの“脳”が喜ぶ仕掛け、気配りが必要なのです。そうした思いがあって、私は自分のことを「プロデューサー」としているのです。

目標を達成する唯一の方法

 少し話題を変えますが、あなたは、いままでの人生でたくさんの目的を達成されてきているはずなのですが、そのことには気付かれていますか? いまここで、どんな目標を、どのようにして達成してきたのか思い出してみてください。

 例えば、

  • 子供のころに、欲しいおもちゃを買ってもらうためにしたことは?
  • どうしても勝ちたい試合に勝つためにしたことは?
  • どうしても入りたい学校に合格するためにしたことは?
  • どうしても欲しい車を買うためにしたことは?
  • どうしても入りたい会社に入社するためにしたことは?
  • どうしてもお付き合いしたい彼女、彼の心をつかむためにしたことは?

 結論だけを書いてしまいますと、欲しい車を手に入れるときも、あこがれの会社に入るときも、彼女、彼の心をつかむときも、いつも目標をかなえたときには、目標がかなう前から、かなったときのイメージを明確に持っていたということです。

 念のため補足しておきますが、ここで想定している目標とは、努力や困難を乗り越えることが必要と思われるものですから、普段着を買うとか、毎日の買い物のついでにお菓子を買ってもらうとか、そういったものではありませんよ。

 ところが、プロジェクトに参加するに当たっては、プロジェクトのゴールや、チームの姿を明確にイメージしている人は非常に少ないのです。

 そして、

「あの人がいるからあのプロジェクトは大丈夫」

「あの人に任せておけば間違いない」

といわれるような、スーパーSEや熟練プロジェクトマネージャたちは、意識的に行っているかどうかは別として、プロジェクト成功のイメージを非常に鮮明に描いているのです。

 実際に、彼らの中にはプロジェクトが始まる前に、イメージの明確化とそこから具体的な計画に落とし込む作業のためにホテルに1人で泊まり込む人もいるのです。この小さな差が、大きな違いとして結果に表れたりするのです。

 なぜ、このことが大きな違いを生み出すのでしょうか?

 もちろんちゃんとした理由があります。

 それは、人間の脳は、鮮明な想像と、現実とを区別することが出来ないということなのです。梅干やレモンを具体的に想像すると、口の中が唾液であふれてくるという事実からもご理解いただけると思います。脳にとっては、あなたが頭の中で思い描くことが現実であるのか空想であるのかは関係はなく、現実と思えば体もそのように反応してしまうのです。

 ですから、プロジェクトの成功のイメージが鮮明であればあるほど、あなたの脳はそれが事実であると錯覚し、それに基づく行動をあなたにとらせるということです。

 確かに、いろいろなプロジェクトを見ていると、どう考えても“無理!”と思えるようなプロジェクトも少なくありません。また、自分には向いていないものの担当になったりして、嫌々やっていることを、うまくやり遂げたようにイメージすることは難しいですね。

 そうした状態を未然に防ぐための具体的な方策ももちろんあるのですが、それは本稿の最後にお伝えすることにして、ここではまず、

「真剣に実現したいことは、真剣に、明確なイメージを頭の中で思い描く」

ということをお伝えしたいのです。そして、その実現に向けての着実な活動を実践することによって、目標を達成することになります。

 これは大切なのでもう1度いいますが、イメージするだけで実現するということは“おそらく”ありません。イメージした次には着実な実践が必要です。

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