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» 2006年07月27日 12時00分 UPDATE

情シス部のリバイバルプラン(2):UISSを活用して情報システムの位置付けを検討する (1/2)

[井上実,グローバルナレッジネットワーク(株)]

前回は、情報システムの企業内における位置付けが変化しているにもかかわらず、情報システム部がその変化に十分に対応できていないことが、情報システム部弱体化の原因であることを説明した。そして、情報システム部のリバイバルプランを考えるうえで、まず、事業活動における情報システムの位置付けを明確にし、情報システムに関する業務機能を明らかにする必要があると述べた。今回はUISSを活用して情報システムの位置付け、および情報システムに関する業務機能を検討する。

 企業の事業活動における情報システムの位置付けをあらためて見直し、業務機能を一から洗い出すことは容易なことではない。そこで、ここでは2006年6月23日に、経済産業省から公開された「情報システムユーザースキル標準(UISS:Users' Information Systems Skill Standards)Ver1.0」を活用して検討する方法を考えてみる。

UISSを活用する

 UISSは、情報サービス産業を対象とした「ITスキル標準(ITSS)」では、ユーザー企業の情報システム部に求められるスキルを的確に表すことができないという問題を解消するために、昨年から経済産業省の委託を受けた日本情報システムユーザー協会が中心となり、ユーザー企業の情報システム部の方々が集まって策定されたものである。

 UISSの「はじめに」に記載されているように、「IS(情報システム)の役割が合理化、効率化のためのツールから、差別化、競争力強化のためのツールへと進展し、IS機能の完備が事業継続のための必要な条件となってきた」という背景から、「企業におけるIS機能の役割とその体制の適正化の必要性が高まっており、IS機能の最適配置およびこれに必要となる人的資源の的確な把握と人材育成の推進のため」策定されており、前回、筆者が説明した内容と同様の認識から出発し策定されていることが分かる。

 そして、事業活動における情報システムの位置付けを明確にしたうえで、情報システムに関する業務機能を洗い出している。

 UISSは、

  1. タスクフレームワーク
  2. タスク概要
  3. 機能・役割定義
  4. 人材像とタスクの関連
  5. 人材像定義
  6. キャリアフレームワーク

 の6つから構成されているが、そのうち、タスクフレームワークは事業活動における情報システムの位置付けを、機能・役割定義は業務機能のブレークダウンと必要なスキル・知識の洗い出しを行ったものである。

 これを活用しない手はない。ここでは、UISSタスクフレームワークと機能・役割定義を活用して情報システムの位置付けと情報システムに関する業務機能を検討する方法を紹介する。

情報システムの位置付けを、タスクフレームワークを活用して検討する

 タスクフレームワーク(図表1参照)は、従来、情報システムのフレームワークとして活用されてきたSLCP-JCF(図表2参照)と比較すると、対象範囲が非常に広くなっていることが分かる。

ALT (図1)タスクフレームワーク
ALT ≪(図2)ソフトウェアを中心としたシステム開発および取引のための共通フレーム体系

(Software Life Cycle Process-Japan Common Frame 98)≫

 全社戦略から事業戦略が策定され、生産・物流、R&Dなどの機能別戦略に展開し、戦略ごとに計画策定、導入、計画評価、活用、戦略評価が行われた後、事業戦略自体の評価を実施するという企業活動のフレームワークの中で、情報システムは基盤として位置付けられ、各フェイズにおいて機能別戦略との連携が必要であることが表されている。

 また、事業戦略の中には情報システムと大きくかかわるものもあるため、事業戦略策定の一部もUISSの対象範囲となっている。

 UISSで挙げられているタスクは、事業戦略策定後のIS戦略策定から、個別案件に分解した後のIS企画、IS導入、IS企画評価、個別案件全体のプロジェクトマネジメント、導入後のIS活用、IS戦略評価、IS保守・運用、IS戦略実行マネジメント、事業戦略評価の一部にまで及んでいる。また、情報システム全体に関連するものとして、セキュリティ、IT基盤構築・維持・管理、共通業務、システム監査が挙げられている。

 このタスクフレームワークを活用して、まず、自社の事業活動における情報システムの位置付けを検討しよう。

 タスクフレームワークで表されているような事業戦略からIS戦略、IS戦略から個別案件のIS企画・IS導入・IS企画評価、そしてIS活用、IS戦略評価という流れに自社がなっているかどうか、事業戦略を受けてのIS戦略策定などではなく、個別案件の承認を得る目的だけのIS企画、IS導入に終始していないかどうか、あるいはIS保守・運用だけに忙殺されていないかどうか。生産・物流、販売、R&Dなどの個別戦略の基盤に情報システムがなっているかどうかなど。

 そのうえで、あらためて、自社の事業活動における情報システムの位置付けは、どうあるべきかを検討し定義する。

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