[アダプテック] SASの時代はすぐそこに来ているストレージレージ関連ベンダ それぞれの戦略(8)(1/2 ページ)

米アダプテックが次世代SCSIの普及をきっかけに、ストレージ・インターフェイス市場での主導権確保を狙っている。同社のCEO兼社長に今後の戦略を聞いた

» 2006年11月18日 12時00分 公開
[三木 泉,@IT]

 かつてSCSIホストバスアダプタ市場を席捲した米アダプテックが、SAS、SATAといった新世代のシリアルストレージ接続技術の普及をきっかけに、ストレージ接続インターフェイスにおける主導権を再び握ろうとしている。今回は、SATAとSASを単一のインターフェイスで同時に利用できる「ユニファイド・シリアル戦略」によって多様な構成が実現できることが強力な武器となる。米アダプテックのCEO兼社長を務めるスンディ・スンドラッシュ(Sundi Sundaresh)氏に同社の戦略を聞いた。

サーバの高成長セグメントに製品を集中展開

──過去1、2年間のアダプテックの状況を教えてください。

ALT 米アダプテックのCEO兼社長 スンディ・スンドラッシュ氏

 当社の顧客のほとんどがアダプテックをSCSIの会社として認識してくれています。ただ、2年前の時点ではさまざまな事業を展開しており、結果として当社の事業は成功していませんでした。このため昨年、当社は事業を完全にストレージ関連に集約しました。コンピュータ直結あるいは外付けのストレージに特化し、データの移動、管理、保護に関する事業を進めていくことを会社の使命として設定し、これに合致しない事業から昨年のうちにすべて撤退しました。

 今後は、当社の持つ2つの基本的な強みをベースとして事業を築いていきます。1つはSCSIからシリアルアタチッドSCSI(SAS)へとつながる技術において主導的な地位を確保していることです。

 もう1つは業界で最も先進的な、実証済みのソフトウェアをベースとしたSCSI RAIDの事業です。2年前に当社はSnap Applianceという企業を買収し、その結果として現在、小規模企業向けのNASにおけるリーダーとなっています。

 いずれの分野においても、検証や互換性の確保を今後も進め、販売パートナーが安心できるような信頼性の高い製品を提供していきたいと考えています。

──SATAとSASの展開はどのように進めますか。

 今後3、4年のうちに、世界のストレージは外付けであってもコンピュータへの直接接続であっても、SATAとSASがほとんどを占めるようになると思います。この2つの技術は今後数年、非常に高い伸びを示すでしょう。コンピュータシステムベンダは高いパフォーマンスが要求されるアプリケーションや1次ストレージにはSASを用い、容量を求められるアプリケーションではSATAを使うようになるでしょう。

 サーバ市場で高成長が見込まれるのは3000ドル以下のシステムです。特にこの高成長セグメントを攻略すべく、当社では「ユニファイド・シリアル戦略」を展開し、SASとSATAの製品ラインをフルに提供していきます。

 ユニファイド・シリアル戦略では、SASとSATAという2つのシリアル技術に単一のアーキテクチャを持たせ、単一の管理ソフトウェア・インターフェイスを与えて、パートナーが多様なソリューションを展開できるようにしていきます。ワークステーションからバックアップ、高性能ビデオ編集など、さまざまなニーズに応える多様なアプリケーションが考えられますが、これらを単一のアーキテクチャと管理ソフトウェア・インターフェイスで提供できるようにしていきます。これにより、システムベンダは認定やサポート、トレーニングにかかわるコストを節約できます。

 アダプテックのユニファイド・シリアル接続製品はすでに非常に急速な伸びを示しており、累計で100万個以上を出荷しました。特に2005年は毎四半期15%の率で成長しました。4つの点から、当社は業界で最高のソリューションを提供できると考えています。

 第1に業界で最も幅広い製品ラインを展開しています。22製品を販売していますが、2006年末までにさらに15製品を発売の予定です。

 第2にRAIDでは最も先進的なデータ保護機能を提供しています。例えばRAID6、RAID5EE、スナップショット・バックアップ、コピーバック・ホットスペアなどです。

 第3にパフォーマンス・テストで当社の製品は競合製品を超える結果を一貫して出しています。

 第4にユニファイド・シリアル・アーキテクチャがあります。単一のアーキテクチャでSASとSATAを共通にサポートできる柔軟性を実現しています。

 外付けストレージ市場も非常に急速に伸びています。アダプテックはこの市場で2つの事業に取り組んでいます。1つはiSCSI、もう1つはNASです。iSCSIでは、特に1万ドル以下のシステムが非常に顕著な伸びを示しています。3年後には5億ドル市場になると期待されています。NAS市場も年率16%で拡大を続けています。1万5000ドル以下の市場の伸びはさらに顕著です。

 当社のNAS製品シリーズである「Snap Server」はフォーチュン500に数えられる大企業の約半数に導入されています。Snap Serverにはデータセンター向けの製品はありませんが、中小企業から中堅企業までのニーズにフルに応えられる製品群を提供しています。ただし、Snap Serverシリーズの日本における投入は未定です。

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