ドロップシッピング(どろっぷしっぴんぐ)情報マネジメント用語辞典

drop-shipping / 直送販売

» 2006年11月27日 00時00分 公開
[@IT情報マネジメント編集部,@IT]

 通信販売・ネット販売におけるビジネスモデルの1つ。小売り事業者は商品在庫を持たずに、卸売業者などから直接、商品を顧客に出荷・配送する小売り形態をいう。

 eコマース黎明期である1996年ころから、一部のオンラインショップは商品提供元(生産者や製造メーカー、卸売業者)と個別に契約して、商品を顧客に直送していた。これは当時からeコマースにおける重要なビジネスモデルという分析もされていたが、直送に対応する業者が多くなかったこともあり、あまり広まっていなかった。近年、オンラインショップ向けに商品提供・直送サービスを行う事業者が増えてきたこともあり、アフィリエイトを行っていた個人や小規模販売事業者から、あらためて注目されている。

 アフィリエイトは参加者が商品を推奨・紹介し、それを通じて商品が売れた場合に商品販売者からキックバックが得られるもので、あくまでも商品情報提供である。これに対してドロップシッピングは参加者自身が小売り事業者(ECサイト運営者)となるもので、自ら販売価格を決定することができ、その小売り価格と仕入れ原価の差額が収入となる。

 ドロップシッピング参加者は在庫リスクなしに販売事業を営むことができ、商品提供者は販路を拡大することができる点がメリットとなる。日本でもオンラインでドロップシッピングを支援するサービスを行う企業が増えており、WebサイトにHTMLタグを埋め込んだり、ショッピングモールサイトに参加したりするだけで、個人でも手軽にドロップシッピング型のECサイトを開設できるようになっている。

 これらのサービスでは商品配送だけではなく、注文管理や代金決済などの機能を提供するところもあり、ドロップシッピング参加者は営業・マーケティングに専念できる。ドロップシッピング型モールサイトの中には、出店する販売側(ECサイト)だけではなく商品提供側も加盟するようになっているところもある。

 drop shippingは、流通・物流用語のdrop shipmentから派生した言葉で、これは流通経路上のある部分(仲介業者、集配センターなど)を飛ばして配送を行う“直送”を意味する。そこで英語のdrop shipperは“直送する者”――すなわち、生産者・製造業者、卸売業者などの商品提供者のことをいうが、日本語でドロップシッパーといった場合、ドロップシップ支援サービスに参加して小売りを行う販売者を指すことがあるので注意が必要である。

 なお通信販売事業者は、特定商取引法で氏名や連絡先を明示するよう義務付けられている。ドロップシッピングにおける販売主体が小売り事業者(ECサイト運営者)にあるのか、商品提供者(ドロップシップ支援サービス事業者)にあるのかは見解が分かれているが、いずれにしても違法行為とならないような配慮が求められる。

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