連載
» 2007年06月05日 12時00分 UPDATE

キーワードでわかるシステム開発の流れ:第1回 「インターネットショップ」はすぐには作れない (1/2)

この連載では、ITプロジェクトの立ち上げからサービスイン・メンテナンスという実際のプロジェクトの進行に沿って話を進めながら、それぞれの場面で必要な基礎知識をあらためて解説し、「最低限押さえておきたいキーワード」を紹介していきます。

[高田淳志,株式会社オープントーン]

 この季節、真新しいスーツに身を包み、毎日の技術研修に明け暮れるフレッシュなシステム・エンジニア(の卵)たちが目立つ一方で、年度初めの4月からいままでとは全く畑違いのIT部門の責任者に任命され、いまさら基本的な技術をどう学んでいこうか? 何も知らなくて話についていけるだろうか……と頭を悩ませている読者の方もいるのではないでしょうか。私自身の経験として、それまで従事していたインターネット系システム部門から金融系システム部門に異動となり、「COBOLって? JCLって?」とメンバーとの技術的な議論についていけるよう、そのときになって必死に入門書を読みあさった記憶があります。

 この連載では、そうした立場の方々も読者に想定し、ITプロジェクトの立ち上げからサービスイン・メンテナンスという実際のプロジェクトの進行に沿って話を進めながら、それぞれの場面で必要な基礎知識をあらためて解説し、「最低限押さえておきたいキーワード」を紹介していく予定です。

 ちなみに、この連載では、各キーワードについての解説は基本的な内容にとどめるつもりです。その代わり、記事最後のページには、各キーワードについてより詳しく解説されている他記事へのリンクを設けますので、それらの記事でより知識を深めていってください。

 連載のはじめの数回は、

  1. 「システム化する」とはどういうことか
  2. システム化に向けて準備すること(もの)は何か

というテーマを取り上げて解説を行っていきます。

システム化するということ

 創業150周年を迎え、いまや全国に13店舗・2工場を展開する老舗和菓子製造・販売A社。これまで対面販売に限定していたA社だったが、150周年を節目にようやくインターネットによる販売を決定した。早速、社内に「インターネットビジネス推進室」なる部署を立ち上げた。メンバーは、それまでB店舗の店長だった青木室長、そしてつい最近ソフトウェア開発会社から転職してきた赤井君の2名。

 「システム」には実にさまざまな種類がありますが、今回はこのようなインターネット・システムを題材にして話を進めていくことにします。

青木室長 「よし、それじゃ、早速インターネットショップを作ってくれ」 赤井君 「急に作ってくれといわれても……」 青木室長 「小さな会社でも個人でも、たくさんのホームページがインターネットで公開されているじゃないか。個人でできるぐらいなのだから、そんなに難しくないのだろう!?」 赤井君 「えっ……!? この間、社長からは現状の販売フローとなるべくスムーズに連携できるよう、社内の在庫情報や発送情報とうまく連携するようなシステムを作るように指示されました。また、せっかくだから、うちの会社の常連客の皆さんには、新製品の情報などをこちらからお知らせするなどして、会社全体としての売り上げアップにも貢献できるようなものを望んでいるともおっしゃっていました。なのに、システム化もせずに、単純なWebページを作るのですか?」 青木室長 「システム化……?」

 「システム」という言葉を辞書でたどってみると、コンピュータに関する意味として「コンピュータで行う作業や仕組みのまとまり」というような意味で解説されているものもあります。広義な考え方をすれば、インターネットそのものがすべてコンピュータによる処理を前提に成り立っていますので、その中で閲覧できるホームページなども含め、全世界的かつ巨大な「インターネット・システム」であると考えることもできます。

 ただ、前出の青木室長と赤井君の会話の中で、赤井君は『システム』という表現を、「Webサイトだけで完結するのでなく、コンピュータ処理を活用しながら、より複雑で細かい(本来ホームページの利用者が意識することのない)社内的な作業まで自動化する一連の仕組み」というニュアンスで使用しているようです。

 一方、『単純なWebページ』という表現では、「それほど複雑なことはせずに、商品情報を確認できたり、利用者から問い合わせをメールで受け付けたりするページだけで構成するような簡易なもの」を指しているようですね。「システム」とか「Webページ」とか、実際、IT業界の中でも使い分けはあいまいです。私は、一時期、Webページ制作会社に勤務していたことがありますが、その会社では、ホームページの中にある「お問い合わせフォーム」(氏名や質問内容などを書く形のよく見掛ける一般的なものです)に対応する簡単な構造のプログラムまでも「システム」と呼んでいて、「システム」と呼ぶ内容のレベルや規模のギャップに最後まで違和感をぬぐえなかったぐらいです。

ここまでのキーワード

【システム】 利用者向けサービスや社内業務に関する一連の流れにコンピュータ処理を活用し、より自動化を推進したもの。必ずしもインターネット向けのものだけが対象ではなく、さまざまな形態のものが存在する。また、システム化を行ううえでは、プログラム言語と呼ばれるコンピュータ処理用の手続き記述言語を使用して実現内容を表現することがほとんどである。「交通費精算」や「稟議申請」など、画面から必要な情報を入力・登録しておくといつの間にか精算や稟議が完了している……、そのようなものが身の回りにいろいろないだろうか。それが、「交通費精算システム」とか「稟議システム」ということになる。さらに、もしそれらが社員限定の仕組みであれば、総括して「社内システム」ともいえる。


【Web(ウェブ)ページ】 類義語:ホームページ。インターネットでの公開・利用を前提とした情報ページ。パンフレットであれば紙に記述するところを、インターネットで閲覧可能なように、固有の記述ルールに従って電子的に記述・表現したもの。紙でいう1ページは、WebページではWebブラウザ(Internet Explorerなど)で表示したときの1画面ということになる。もちろん、スクロールバーを使っても上から下までで1ページと呼ぶことになるし、Webページ制作会社が料金体系に使用する「ページ単価」というのは、このWebページ1ページ分を指す。ほぼ同じ意味で使用される言葉として「ホームページ」がある。もともとは、それぞれのWebサイトで最初に表示されるページをほかのWebページと区別してそう呼んでいたようだが、それがいまでは特に区別なく使用されることが多いようだ。


【Webサイト】 類義語:インターネット・サイト、ホームページ。システム化されているか、Webページだけで構成されているかという実現手段に関係なく、インターネット公開用のサーバ、または、サーバに用意されている情報全体を総括した表現で使われる。明確な区別はされていないようだが、傾向的には業界での呼び方として、個人をはじめ小規模なものを「ホームページ」、企業の公式ページとして用意するような大規模なものを「サイト」と表現することが多いように感じる。



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