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» 2008年03月07日 12時00分 UPDATE

マーケティング入門〜売れる仕組みの作り方〜(1):そもそもマーケティングって何? (1/3)

近年、マーケティング戦略を支援するさまざまなITツールが出回っている。だが導入しても効果が出ないという声もよく聞かれる。そもそもマーケティングとは何なのか? 基礎から見直すことで、売れる仕組みの作り方とITの効果的活用を考える。

[斉藤孝太,株式会社SIS(ストラテジック インテリジェント システム)]

もう一度、マーケティングを基礎から見直そう

 近年、企業のマーケティング戦略をサポートするITシステムやWebシステムが多数登場しています。多くの企業はマーケティング活動を効果的・効率的に進めるために、それらを積極的に導入しています。しかし一方で、導入したが期待した効果が得られなかった、という声が聞かれることも事実です。

  IT導入の成功・失敗を分かつものには、導入準備のあり方をはじめ、さまざまな要因が存在します。しかしそれを考える前に、皆さんに見直していただきたいことがあるのです。

 ITを使って推進しようとしている「マーケティングそのもの」について、どれほどの基礎知識を持っているでしょうか? 「Webマーケティング」や「システムを活用したマーケティング」といった狭い意味ではありません。大きな意味での「マーケティング」について、正しい知識があるでしょうか?

 ITでマーケティングの効果を高めるためには、当然ながらマーケティングとは何か、何のために行うのかを理解していることが前提となります。この根本部分がないと、ITを導入することが目的化してしまい、肝心の成果が出せません。すなわち、ITを効果的に活用するためには、いったんITから離れて、「マーケティング」という言葉を、あらためてとらえ直すことが近道なのではないでしょうか。

 この連載ではそうした考えに基づいて、マーケティングの基礎の基礎から理解を深めていきます。まずは「マーケティング」というものの全体像を明らかにしたうえで、ITの位置付け、役割を明確化すれば、より効果的なIT活用も、自ずと考えやすくなるのではないでしょうか。

時代とともに、定義が拡大

 そこで、まず明確にしておきたいのは、「そもそもマーケティングとは何か」という、マーケティングの定義です。

 日本でマーケティングという言葉が頻繁に使われ始めたのは、高度経済成長の真っただ中でした。その時点では、マーケティングという言葉は、主に「リサーチ」という位置付けで語られることが多かったのではないでしょうか。

 当時「マーケティング」は「市場リサーチ」を意味し、「販売」とは営業部や営業マンが実施する「アクション」を指していました。つまり、企業はまず「市場リサーチ」を行い、その結果に基づいてマスメディアで幅広く告知を行い、少数アイテムの大量流通を狙う、いわゆる「マス・マーケティング」を行っていたのです。

 しかし、時代は変わります。高度経済成長期の後半から、バブル時代、そしてバブル崩壊後の近年にかけて、大衆相手に大量に売りさばくマス・マーケティングの効果はみるみる減退していきました。ライフスタイルの変容とともに消費者の価値観が多様化していく一方、メーカーで作られる商品の品質は均一化し、差別化の重要性が高まってきたのです。

 加えて、バブル崩壊以降、長引いた不況により、消費者は財布のヒモをいっそう引き締めてしまいました。国内市場の落ち込みが加速度的に進むなか、販売実績を高めるためには、もはや営業部門・営業マンの努力・根性・度胸だけでは難しいことが、次第に明確になっていきます。

 こうした時代の変遷に合わせて、「マーケティング」の意味合いも、かつての「市場リサーチ」に比べると、だいぶ幅広いものに変化していきました。

 例えば、マーケティングの権威として有名なフィリップ・コトラー氏は、「マーケティングとは、新しい顧客を見つけ、製品の魅力や性能を改善し、既存の顧客を逃がさないようにし、製品の売り上げの結果を検討し、業績を維持する」ことと定義しています(「マーケティング原理 第9版」ダイヤモンド社より)。

 この定義は、拡大しているマーケティングの範囲を、正しくとらえていると思います。 しかし、すでにマーケティング部門や、その関連部門で活躍されている方、あるいは配属されたばかりの方にとって、この定義はいかがなものでしょう? “販売の現場”に日々触れている方にとって、コトラーの定義は少々回りくどいですし、理解しにくいのではないでしょうか。

 そこで、コトラーの定義と、現代の販売現場で求められていることをかんがみつつ、あらためて「マーケティング」を定義してみると、「売るための仕組み作り」とするのが最適だと思います。いかがでしょうか? コトラーは絶対的なものではありませんし、ほかの定義もありうると思うので、この連載ではこの定義に基づいて、BtoC市場を例に取りつつ、シンプルに話を進めていきたいと思います。

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