「ページではなく、個人に広告」行動ターゲティングの新技術実証実験CGM情報と行動履歴を関連付けて蓄積

» 2008年03月11日 00時00分 公開
[谷古宇浩司,@IT]

 ブログウォッチャーは3月11日、行動ターゲティング型情報配信プラットフォームの実証実験を開始したと発表した。2008年12月に情報配信サーバの試験運用を開始し、2010年4月の本格稼働時で会員数200万人の獲得を目指す。

 経済産業省「情報大航海プロジェクト」の1プロジェクトとして、ブログウォッチャーが中心となり、ブログなどのCGM情報とWeb上の行動履歴を関連付けて蓄積するデータベース「プロファイルパスポート」を開発してきた。従来のアドサーバは、Webページに広告を配信するが、プロファイルパスポートのアドサーバは、独自IDを発行した個人に広告を配信する。これにより、「会員の嗜好(しこう)にあった広告や行動特性にあった広告が配信できる」(ブログウォッチャー 代表取締役社長 羽野仁彦氏)とする。

ブログウォッチャー写真 ブログウォッチャー 代表取締役社長 羽野仁彦氏

 3月11日に開始した実証実験は、SNSサービスと、「Wii」(任天堂)で動作するゲームの2つのサービス上で、会員の嗜好情報を利用した行動ターゲティング型情報配信サービスの検証を行うもの。この実証実験を通じて、行動ターゲティングの精度向上を目指す。レコメンデーションエンジンの分野拡大や、個人・情報プライバシー保護技術の開発も進める。

 同実証実験では、いくつかの新技術が活用されている。

 ブログや携帯電話メールなど、現在の口語体自然文章に対応した形態素解析技術・係り受け解析技術を東京工業大学の奥村学準教授などが開発した。現代の口語体自然文章は、主語と述語の対応が曖昧(あいまい)であったり、顔文字が用いられたりしており、人間が読んでも判読不能なものが少なくない。奥山氏は、奈良先端科学技術大学院大学で開発されたフリーの形態素、係り受け解析器に、ブログデータを訓練用データとして与えることで新たな解析器を構築した。より効率的に訓練用データを作成するための解析器チューニングツールも開発した。この技術は、情報大航海プロジェクトの成果として、無償公開する予定。

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