「法的リスクがゼロに」、アドビがソフト管理の認証事業を開始アドビ製品を使うユーザー企業が対象

» 2008年03月28日 00時00分 公開
[垣内郁栄,@IT]

 アドビシステムズは2月末に、エンドユーザー企業を対象にアドビ製品のライセンスが適切に管理されていることを認証する新しいプログラム「アドビSAM認証プログラム」を開始した。アドビはソフトウェア資産管理(SAM)のサービスを強化する方針で、同時にSAMソリューションを提供するパートナープログラムも立ち上げた。

 IT統制を重視する企業が多くなり、社内で利用するソフトウェアのライセンス管理のニーズは高まっている。かつては違法ライセンスのソフトウェアが社内で利用されていないかどうかが管理のポイントだったが、企業向けのボリュームライセンスの利用が広がることで、ライセンス管理を可視化し、効率的に運用することを探る企業が増えている。

 2006年5月にはソフトウェア資産管理の国際標準「ISO/IEC 19770-1」が策定。同年11月にはISO/IEC 19770-1に準拠した形で、「ソフトウェア資産管理基準Ver.2.0」が発行された。

アドビのシニアライセンシングマーケティングマネージャーの今泉寛氏。ビジネス ソフトウェア アライアンス(BSA)の日本事務局長を過去に務めた

 アドビが提供する認証プログラムは、このソフトウェア資産管理基準Ver.2.0をベースに企業のライセンス管理状況を確認し、認証を与える。企業は外部に対して自社がアドビ製品のライセンスを的確に利用していることを示せると同時に管理の改善点も分かる。

 プログラムを推進するアドビのシニアライセンシングマーケティングマネージャーの今泉寛氏は、「認証を受けることでアドビ製品については組織的に管理し、リスクが最大限なくなっていることを外部に示せる。法的リスクがゼロになる」と話す。プログラムの対象は全社規模での導入を想定しているライセンス体系である「CLP」を使っている企業。

 具体的にはソフトウェア資産管理基準Ver.2.0の評価規準が定める「方針」「コスト」「資産管理」「管理レベル」「セキュリティ」などの項目にのっとり、企業の管理体制を評価する。6段階のレベル判定のうち、平均3以上のスコアで認証を与える。ソフトウェア資産管理を行いたくても、どこまで体制を整えればいいのか分からない企業に対して、明確な基準を示す。

 アドビはユーザー企業のソフトウェア資産管理の整備を支援するパートナー企業向けのプログラム「アドビSAMパートナー」も組織した。アドビはユーザー企業のライセンス状況を確認する「アドビ ライセンシングコンサルティングサービス」を4社(ウチダスペクトラム、TOO、大塚商会、モリサワ)のパートナーと従来から提供しているが、アドビSAMパートナーではこの4社に加えて9社と新たにパートナーを組む。

 新たにパートナーとなったのはアエルプランニング、内田洋行、クオリティ、監査法人トーマツなど。計13社がソフトウェア資産管理のコンサルティングや評価サービス、ライセンス購入支援サービス、トレーニングサービス、インベストリサービスなどを提供する。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ