FURPS(えふゆーあーるぴーえす)情報マネジメント用語辞典

functionality, usability, reliability, performance, supportability / フープス

» 2008年05月12日 00時00分 公開
[@IT情報マネジメント編集部,@IT]

 ソフトウェア・メトリクスにおける品質属性(attributes)モデルの1つ。ソフトウェア品質を考えるときに指針で、後にFURPS+(フープスプラス)へと拡張され、UP/RUPなどのソフトウェア要求モデルとなっている。

 FURPSはソフトウェアの品質の向上のためにどのような観点で何を測定すべきかを表すソフトウェア・メトリクスのモデルで、米国ヒューレット・パッカードのロバ−ト・B・グラディ(Robert B. Grady)、デボラ・L・キャズウェル(Deborah L. Caswell)らによってまとめられた。その名前は、ソフトウェア品質に影響を与える属性の頭文字をつなげたものである。

FURPSの各属性([+]は後から追加されたもの)
[F] 機能性(functionality)
特徴セット、能力、一般性、セキュリティ
[U] 使いやすさ(usability)
人的要因、美的感覚、一貫性、ドキュメンテーション
[R] 信頼性(reliability)
故障と周期の重要性、復旧のしやすさ、予測性、正確性、故障の平均時間
[P] 性能(performance)
スピード、効率、リソースの消費、スループット、応答時間
[S] 保守性(supportability)
テストのしやすさ、拡張性、適用性、保守性、構成のしやすさ、サービスしやすさ、導入のしやすさ、ローカライズしやすさ
[+] プロジェクト上の制約(plus constraints)
実装要求、インターフェイス要求、物理要求

 FURPSモデルを使ったソフトウェア・メトリクスではまず、品質属性の優先順位付けを行う。各属性はトレードオフの関係にある場合があるので、開発しようとしているソフトウェアの目的に応じて、どの品質属性を重視するかを事前に定めておくことで、最終プロダクトの品質をバランスあるものとすることができる。

 次に各品質属性(特に優先順位の高いもの)の測定指標を定める。「使いやすさ」のようにそのままでは数値化しにくい属性もあるので、目的に応じて適切な測定方法、定量化方法を検討する。

 FURPSが掲げる品質属性はソフトウェア開発・運用に必要な要求事項の一覧としても使えるため、非機能要求を含む要求定義を行う際に要求のヌケやダブリを防止する枠組みとしても用いられる。UPRUPでは要求分析にユースケースを利用するが、これは機能要求に偏っていることから、ユースケースで定義した機能モデルからFURPSを使って非機能要求を導出する方法が推奨されている。近年ではソフトウェアに限らず、家電などの一般工業製品の仕様を検討する際のフレームワークとして利用する例も見られる。

参考文献

▼『ソフトウエア・メトリクス――生産性、品質の計測方法からその全社的展開まで』 ロバ−ト・B・グラディ、デボラ・L・キャズウェル=著/清水千博、水野孝一=訳/日経BP社/1990年12月(『Software Metrics: Establishing a Company-Wide Program』の邦訳)

▼『Practical Software Metrics for Project Management and Process Improvement』 Robert Grady=著/Prectice-Hall/1992年4月

▼『オブジェクト指向ソフトウェア工学OOSE――use-caseによるアプローチ』 I・ヤコブソン、P・ジョンソン、M・クリスターソン、G・アーバガード=著/西岡利博、渡邊克宏、梶原清彦=監訳/トッパン/1995年9月(『Object-Oriented Software Engineering: A Use Case Driven approach』の邦訳)


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